ラッキーボーイは、どこにいる。日本ハム栗山英樹監督(54)が、ユニークな選手起用の指針を導入することを明かした。25日、札幌市内の球団事務所で行われた仕事納めに出席。4年ぶりV奪回を目指す来季へ、重要視する1つの要素を「運」と強調した。西鉄などを率いた三原脩監督(享年72)が重視する理論を踏襲。スタメン構成の判断材料など、よりどころの1つにしていく考えだ。

 大勝負へのキーワードを決めた。ケジメの球団の仕事納めに出席し、来季への抱負を明かした。栗山監督は球団事務所の1室の白い壁を向き、青いインクのペンを走らせた。まず「運」と書き記し「!!」を、さらに加えた。「来年は『運』だよ。ビックリさせる」。3年連続でリーグ制覇を逃し、来季へ思い悩んできた中で見えてきたキーワードだった。

 真顔で力説した。

 栗山監督 この選手に「運」があるのか、どうか。実力だけではなく「運」が、ある人がいい。

 就任5年目への突入を控えた、今オフ。1年間を「自分の中で淡い感じ」と表現したように、今季は不完全燃焼だった。脳裏によみがえってきたのは「魔術師」とも呼ばれた三原監督。卓越した兵法の哲学だった。「実力5、運3、調子2」。伝説の知将が、勝負事で重んじた割合だった。監督元年にも胸に留めてタクトを振ったが、憧れの先人の思考をあらためて実践しようと思い立った。

 栗山監督 「運」を研究する。「運」って、人のために誠意を尽くしたかとか、そういうところでつながってくるのかなと思う。

 実態がつかみにくいテーマと、本気で向き合う。福引で1等が当たった人、宝くじに当選した人…。身近にいる「運」の良さを感じる人物に直撃して、聞き取り調査。「運」を引き寄せる理由も検証するなどし、選手見極めのエッセンスにする。「『運』がある人は、とことん『運』がある。それは、どういうことなのか。それが9人いたなら、勝つからね」。栗山監督が、激動の新年へ「運」を頼みに向かう。【高山通史】