ポーカーフェースで大学生の意地を見せつけた。楽天のドラフト3位茂木栄五郎内野手(21=早大)が13日、新人合同自主トレ恒例のシャトルラン(20メートル往復持久走)で新人歴代3位タイの好記録をたたき出した。歴代最高の13年森には5本届かなかったが、08年聖沢に並ぶ132本。「高校生には負けられないと思って」とぶっちぎった。

 負けず嫌いの勝利だった。「スタミナは全然自信がない。この結果にびっくりです」。高校、大学と持久走は「遅いほう」。他の新人に負けたくない一心で、「つらい顔を見せたくない」と足が止まるまで顔をゆがませることはなかった。この日は体力自慢の“優勝候補”、ドラフト2位吉持亮汰内野手(22=大商大)が体調不良で不参加。最大のライバル不在の間に、見事1位に輝いた。

 関場トレーナーは「筋力評価以上の力。トータルで体の使い方がうまい」と驚いた。持久力だけでなく心肺機能の強さ、何より苦しくなってからの精神力が試される。茂木は「この記録がこのまま野球技術の評価にはつながらない。でも力を出し切って追い込めたことが、今後につながると思います」。愛嬌(あいきょう)ある笑顔の下に、底知れぬ体力とハートの強さを秘めている。【鎌田良美】