メジャー66発の中日の新外国人ダヤン・ビシエド内野手(26=ホワイトソックス3A)が24日、米国から中部国際空港に来日した。4番候補に期待されている長距離砲はパワーを誇示し、ナゴヤドーム天井弾や、最長不倒本塁打にも意欲。長打不足に泣いた中日に、頼もしすぎる愛称「タンク」が加わる。

 はち切れんばかりの胸板。30センチというには大きく見えるスニーカー。そして、人なつこさのある笑顔。日本式にペコリと頭を下げて到着口から出てきた男は、漫画から飛び出してきたような大物スラッガーの風格を持っていた。

 性格は謙虚で明るい。ただ、持ち前のパワーについて聞かれると口調は滑らかになった。

 「メジャーではチームに数人のパワーヒッターがいたけど、飛距離はある方だったよ。シカゴやミネソタで大きなホームランを打った。パワーは生まれ持ったものだと思う」

 本人が記憶する特大弾は14年のホワイトソックス時代、左翼に打ったもので、約140メートル。当時、同じキューバ出身でパワー自慢のホセ・アブレイユが同僚だったが「同じくらい飛んだな」など言い合い、パワーを競う間柄だったという。

 ナゴヤドームでは09年ブランコ(現オリックス)が天井スピーカーにぶち当てた認定本塁打がある。推定160メートルといわれるレアな天井弾だが「そうなのか。じゃあ僕が打ってみようか」。日本の史上最長弾は西武時代のカブレラが記録した推定180メートルとされる。それを伝え聞くと「ワ~オ! メジャーの球場は風もあるし何とも言えないな。ボールも違う。日本のボールの方が飛ぶなら分からないね」と自信をチラつかせた。

 昨年の中日は平田の13本塁打が最多、チーム71本は12球団最少で長打は大きな課題だった。ビシエドは一塁か左翼で4番を務めることが確実だ。「プレーする前に目標の数字は言いたくない。シーズンを見てほしい。とにかく勝利に貢献したい」。推定年俸1億7000万円の大物助っ人は米国で打撃、守備練習をこなし、体も引き締めてきた。キャンプイン初日から沖縄・北谷に“タンク弾”を見せてくれそうだ。【柏原誠】

 ◆ダヤン・ビシエド 1989年3月10日、キューバ生まれ。19歳で米国に亡命し08年にホワイトソックスとマイナー契約。10年メジャーデビュー。メジャー通算483試合、66本塁打、打率2割5分4厘。今年はホワイトソックス、ブルージェイズ、アスレチックス、ホ軍マイナー契約。185センチ、108キロ。右投げ右打ち。3月に第3子の男の子が誕生予定。