覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで2日夜に現行犯逮捕された元プロ野球選手清原和博容疑者(48=東京都港区)が、覚せい剤の使用についても認めていることが3日、警視庁への取材で分かった。

 指導者として球界に戻る希望を持っていた清原容疑者だが、球界との溝は年々深まるばかりだった。ともに西武の黄金期を築いたメンバーが続々と監督に就任しており、同容疑者には自分もという思いを抱いていた。一昨年までは元同僚が指揮を執るチームを中心に春季キャンプを回るなど、強い意識を持っていた。

 ただ、シーズン中はほとんど球場に足を運ばず、野球と関係ない仕事が中心になった。足や上半身に彫った入れ墨も、球界復帰の道を閉ざす大きな要因となった。14年2月のキャンプ取材では場違いな白いスーツで登場して批判を浴びた。その直後に週刊文春に薬物疑惑が掲載され、ますます球界と疎遠になっていった。昨年はキャンプ取材の計画を立てたが、各球団からの拒否反応が強かったため中止した経緯もあった。

 自ら野球界との関係を断つような行動に対し、西武時代に監督だった森祗晶氏(79=日刊スポーツ評論家)は忠告する手紙を書いたことがあったという。

 「5年ほど前だろうか。君は野球人なのだから野球を中心に行動し、しっかり野球を勉強しなさいと手紙を書いた。石毛、伊東、渡辺、秋山…、工藤や田辺も後に続いた。西武でともに戦った仲間が素晴らしい指導者になっている。清原もそうなってほしいと願っていた」。ただ、森氏の親心は届かず、その後は会うこともなくなっていた。森氏は現在住むハワイで逮捕のニュースを聞き「驚いて言葉が出ない。なぜ? どうして? という思いだ」と落胆していた。

 最初に入れ墨を彫った際に「球界に戻るためにも絶対消してもらう」と強い意思を見せていたという夫人とも、14年に離婚した。周囲が願ったように、あくまで野球人としての道を歩み続けていれば、こんな事態に至らなかったのではないか。逮捕の報を耳にし、そう感じている関係者は多いだろう。