新型1号だ。DeNA筒香嘉智外野手(24)が11日、今季初実戦となる紅白戦に出場し、第1打席に右中間への豪快な本塁打を放った。紅組の「4番左翼」で出場し、2回表の先頭で石田のスライダーを運んだ。第2打席にも左翼線へ適時二塁打を放つなど2打数2安打2打点。このキャンプでは右足をほとんど動かさないノンステップ打法に取り組んでおり、初戦のファーストスイングから1発回答を出した。

 グシャッという感じのインパクトだった。筒香がとらえたボールは、きれいな放物線を描いて右中間席へ舞った。打った瞬間に分かる豪快なアーチにも表情ひとつ変えず淡々とベースを回った。「今は結果よりボールを見ることが大事ですから。まだまだ。体も切れていないし」と、本塁打に対して特別な感慨はない。

 ただ周囲に与えたインパクトは大きかった。2回表裏の攻防は、ラミレス監督がベンチからサインを出していた。1-1からのスライダーだった。ラミレス監督は「ボールにするつもりだったけどね。甘く入ったら、筒香には打たれる。非常にいいバッティングだった」と脱帽。ノンステップ打法にも両手を挙げて賛成だ。「前は足を高く上げすぎてタイミングが合わないことがあった。このステップならグッドコンタクトができる。彼はパワーは十分。後はどれだけミートできるかだけだから」と説明した。

 マウンドの2年目石田も新打法に降参した。「僕はいかにタイミングを外すかが勝負。(ステップが)スッと来るとズラしにくい。イヤですね。もう投げたくない」と言った。打者8人に対し会心のスイングを許したのは筒香だけだった。

 筒香にとっては、まったく新しい試みという位置付けではない。「これまでのものがまとまったのが今(のフォーム)という感じ。まったく別ではない。外見より体の中で動いてボールを呼び込んでいる感じなんです。自然、です」と考えながら、言葉を選んで今の形を表現した。

 ブレが少ないから、ボールをよく見ることもできる。オフのドミニカ共和国でのウインターリーグに参戦し、強く動くボールへの対応力アップを図って取り組み始めた。「自分の間に呼び込む感じです。順調に来ています。これを続けて、オープン戦で微調整して開幕につなげたい」と3月25日を見据える。13日のヤクルト戦(浦添)が対外試合初戦だ。【矢後洋一】