由伸政権の“第1号”はキャプテンが決めた。巨人の宮崎春季キャンプ最終日の14日、坂本勇人内野手(27)が紅白戦2試合目でチーム初本塁打となる同点2ランを放った。今キャンプでは長嶋茂雄終身名誉監督(79)や松井秀喜臨時コーチ(41)らから打撃指導を受け、右足に体重をためる打法の習得に励んだ。不振にあえいだ昨季からの復活に向け、手応えをつかんだ。巨人は今日15日に第2次キャンプ地の沖縄へ移動する。

 突っ込まず、右足にグッと力を乗せた。3回2死二塁での第2打席。坂本は高木勇の初球117キロのスライダーにも、体勢は崩されなかった。軸回転で振り抜き、左翼ポール付近の中段席に運んだ。「きれいに芯で捉えられた。試していることが結果で出たのでホッとしました」と、“今季第1号”に頬を緩めた。

 名打者の教えをもとに、打撃フォームを追求してきた。昨季は打率2割6分9厘、12本塁打。松井臨時コーチからは、全野手に向けた打撃指導で「軸足に体重を残して打つこと」を力説され、長嶋終身名誉監督からも「右足をもっと意識した方がいい」との金言を授かった。助言を理解した上で、内田コーチとともに、右足にどれぐらい体重を残して打ちにいくのがベストかを試し続けた。本塁打の場面、ミスターは球場を後にしていたが、松井臨時コーチには成長を証明した。

 主将2年目の自覚も行動に表れた。若手はもちろん、ロッテから加入したルイス・クルーズ内野手(32)にも練習から積極的に声を掛けた。「(チームメートにも)思ったことは話をしたし、去年よりは自分から意見を言えるようになったかな」。高橋監督も「中心選手の自覚を持ってやってくれている。試合前に2軍に行って(11日のシート打撃でチーム初の柵越えを放った)実松に『お前が1号かよ』って言ったよ。でも紅白戦1号が坂本で良かった」と、冗談交じりで内面の成長も喜んだ。

 紅白戦後には、坂本が3本締めをして宮崎キャンプを打ち上げた。「結果を出せたらやっていることが正しいという自信になる。もっともっとレベルアップしたい。チーム全体を見ながらやっていきたい」。バットでも背中でも、坂本が引っ張る。【浜本卓也】