虎のシンデレラボーイが、ついにオープン戦首位打者に躍り出た。阪神横田が確かな成長を披露したのは3回だ。無死走者なし。カウント1-1。踏み出した右足とバットにブレーキをかけた。左腕浜田達の外角低めに逃げるスライダーに誘われない。その直後。今度はストライクゾーンの外角スライダーをバットの先で拾った。ハーフライナーで二塁亀沢の頭上を越す中前安打だ。

 横田 去年と比べたら、ボール球を振る回数は減った。それが結果につながっているのかなと思います。

 1回無死一塁、カウント2-2で浜田達の外角スライダーを右翼線へ二塁打。3回に中前打を決め、7回にはこれまた左腕の小川から投手強襲の内野安打。9回無死一、三塁ではカウント1-2から、丁寧に左犠飛を打ち上げた。「三振だけはしないという気持ちで」。誘い球に乗らず、追い込まれたら粘る。もう立派な1軍戦士だ。

 4戦連続で中堅スタメンをはり、3戦連続で複数安打。オープン戦打率4割3分2厘での首位打者。さらに19安打も最多で2冠。指揮官をニンマリさせる堂々の暴れっぷりだ。

 金本監督 おもしろいね。打順を上げたら、その気になって打つ。そういうタイプはいる。明日4番にしたら、ホームラン打つんじゃない?

 オープン戦の対左投手成績も14打数6安打、打率4割2分9厘と好成績。開幕戦となる3月25日中日戦の相手先発は左腕大野。いよいよ開幕中堅スタメンが決定的な情勢だ。

 横田 余裕は全然ないです。自信もまだ全然…。

 横田慎太郎、20歳。超変革を図る金本阪神の象徴の1人だ。【佐井陽介】