眠っていた昨年の王者ソフトバンクが、負け知らずの鹿児島で目を覚ました。最下位オリックス相手に今季最多の13点を奪って圧勝。桜島が噴火したこの日、打線は大爆発し、オリックス金子を攻略。開幕5カード目で、今季初めてカード初戦白星を手にした。

 試合前に1度、試合中にも2度噴火した桜島に呼応するかのように、今季初の3本塁打競演。3回に福田が同点ソロで号砲を鳴らすと、4回には高谷が決勝打となる右越え3ラン。プロ通算4本目となる伏兵の1発で大量点への導火線に火をつけると、6回には松田が中越えの場外3ラン。前日8日まで打率1割を切っていた高谷は「打ってない僕が言うことじゃないですけど、桜島が噴火してましたからね」と、大地のエネルギーを味方につけた。

 昨年まで鹿児島で23打数14安打、打率6割9厘だった内川のバットも火を吹き続けた。今年も4打数4安打3得点と大活躍。打率は4割4厘に上がり、首位打者に浮上。大分出身ながら「もしかして鹿児島出身なのかな?」と冗舌で「去年までの成績を知っていたので、昨日は去年と同じ店で豚しゃぶを食べた。鹿児島の黒豚パワー、桜島の噴火パワーはすごい。個人的には鹿児島であと30試合くらいやってほしい」と、お立ち台でのマイクパフォーマンスもさえ渡った。

 敗れれば3年ぶりの最下位転落だったが、引き分けを挟んで3だった連敗をストップ。鹿児島では7連勝で、球団名がソフトバンクとなってからは5戦無敗。工藤監督も「こういう縁起のいいところで勝利をものにするのは大事なこと。まだ借金が2つあるので早く返せるようにしたい」と声が弾んだ。ようやくつかんだ上位浮上へのきっかけ。3連覇を目指すホークスが上昇気流に乗る、きっかけをようやくつかんだ。【福岡吉央】