またまた若手が抜てきされた。阪神ドラフト6位板山祐太郎外野手(22=亜大)が21日、プロ入り初の1軍昇格を果たした。ヤクルト戦が行われる予定だった倉敷マスカットスタジアムで汗を流した。開幕の1、2番はドラフト1位高山と3年目の横田。そこに2年目の江越が追い上げて激しさを増す外野のレギュラー争い。福留が左足負傷でスタメンを外れる“チャンス”に下克上ルーキーも参戦する。

 雨雲を吹き飛ばさんばかりのフルスイングだった。乾いた打球音が室内練習場に響き渡る。板山は闘争心をたぎらせ、練習に励んでいた。

 「やってやろうという気持ちですね。持っているもの以上の力を出そうとするんじゃなくて、今までやってきたことをやっていきたいと思っています」

 結果を残せず2軍落ちしたオープン戦から1カ月半。背番号63は進化を遂げて1軍の舞台に帰ってきた。掛布2軍監督に力の入れ方や、体を平行に回すことを学び手に入れた鋭いスイング。ウエスタン・リーグで打率2割5分5厘だが、前日20日の広島戦で3打数2安打。金本監督も「振る力があるからね」と力強いスイングに目を細める。

 「2軍の試合はいつも昼に終わるんで、夜に食堂でご飯食べながらテレビで見て、いいなあと思っていました」

 2軍調整中に、同じ外野手の高山、横田、江越が1軍で活躍。悔しい気持ちが当然あった。その中でも平野コーチに言われた「2軍で打つためじゃなくて、1軍で結果出すためにやるんだぞ」という言葉を胸に刻み、必死に練習に励んできた。ようやく訪れた好機。指揮官も「若いやつにどんどんチャンスを与えて経験させて、雰囲気に慣れさせて打席に立たせる。どんどん試して育てる年にしているんだからね」と話しており、積極的に起用される方向だ。高山が20日ヤクルト戦でスタメンを外れるなど、抜てきされた若手もやや勢いを失っている。板山はチームの起爆剤としての期待も背負う。

 「(掛布さんには)その気になってやってこい、頑張ってこい、と言われました。消極的にならずにということだと思います」

 もうチャンスは逃さない。ミスター下克上がごぼう抜きで主役の座を狙う。【梶本長之】

 ◆板山祐太郎(いたやま・ゆうたろう)1994年(平6)3月27日、神奈川県生まれ。成立学園では1年夏から二塁手のレギュラー。亜大2年時に外野手に転向し、東都大学リーグベストナイン3度。入団後の新人体力測定では垂直跳び75センチ。2月キャンプでは高山と同時に最終クールで1軍昇格もオープン戦時期に降格。ウエスタン・リーグでは20試合出場、打率2割5分5厘、3打点。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。