4番の粘りが無敗菅野を止めた。虎の子の1点を呼び込んだのは阪神ゴメスだ。1回1死一、二塁、内角低め146キロワンシームに詰まりながらも三遊間に転がす。内野安打で一塁送球を諦めた遊撃坂本が三塁へ悪送球。この間に二塁走者板山がホームに走り、あっさり先制点をもぎ取った。

 「ヒットにはなったけどエラーが絡んだ点だからね。どんな形でも、塁に出れば点につながる。毎回、全力を尽くすだけだよ」

 主砲は謙虚に振り返ったが、あまりに貴重な1点だった。菅野は試合前の時点で今季9試合に先発し、リーグトップの防御率0・61でチームを7勝2分けに導いていた。難攻不落の相手から初回に先制点を奪い、今季初黒星をつけた。金本監督からは「立ち上がりに孝介(福留)とゴメスがヒットを打って取ってくれた。(黒星をつけた)それが一番。ずっとやられていたからね」とたたえられた。

 これで菅野は今季、虎に24イニングを投げて2失点で自責はゼロ。それだけに相手失策が絡んだとはいえ、1回の1得点が光り輝く。「菅野はいい投手。それ以上に岩貞がいい投球をしてくれたね」。試合後、ゴメスは裏方のコメントに徹し、東京ドームを離れた。【佐井陽介】