「アモーレ(愛する人)」が待つ右翼席中段に着弾した。延長10回2死。DeNA筒香嘉智外野手(24)が人生初のサヨナラ弾で逆転劇の大トリを張った。ロッテ守護神西野のカウント2-1からのカーブだった。「ストライクを投げてくると思ったので、空を向いて振ろうかなと思い切りいった」。ガツンという衝撃音のあと、十分な滞空時間に乗せた14号ソロで試合を決めた。

 大歓声の中で放つ1発は格別だった。最大4点差をつけられた4回無死二、三塁、13号3ランで反撃ののろしを上げた。「あの点差なので最低、犠飛というよりは強い打球で外野の間を抜いて、後ろにつなげたかった」。欲張らず、いつも通り走者をかえすことだけに集中した。一方で試合を決めた1発は「(本塁打を)狙いにいった。チームの勝利が自分の本塁打で決まった。いつもと違う喜びがある」と、ナインからウオーターシャワーを浴びた主砲の表情がはじけた。

 今季19回目の満員大入りとなったファンの存在が励みとなっている。「満員の横浜スタジアムは僕にとってのアモーレです」と感謝した。昨季は、最下位でわずか3勝の悪夢に襲われた交流戦だが恐怖心はない。「去年は去年で今年は今年。相手が強いとかは全く関係ない」ときっぱり。主砲を中心にYOKOHAMAが一丸で鬼門に立ち向かっている。

 チームは勝率5割に復帰し、交流戦初の連勝&カード勝ち越しを決めた。苦手だった延長戦もこれで2勝2敗3分けの五分に戻した。「良いときも悪いときもある。自分たちが出来ることは目の前の試合を丁寧に戦っていくこと」と筒香。DeNAファンにとっての「アモーレ」筒香が歓喜の真ん中で気持ち良さそうに跳ねた。【為田聡史】

 ▼筒香のサヨナラ安打は、12年8月25日巨人戦(延長10回)の二塁打以来2本目で、サヨナラ本塁打は初めて。交流戦でサヨナラ本塁打を含む1試合2発は05年6月10日金本(阪神=対日本ハム)、08年6月17日中村紀(中日=対西武)、同21日村田(横浜=対西武)、13年5月31日浅村(西武=対ヤクルト)に次いで5人目。