久々の快音だ。広島ブラッド・エルドレッド内野手(35)が「日本生命セ・パ交流戦」楽天戦(コボスタ宮城)で14試合ぶりの15号ソロを放った。5点リードの6回に右翼スタンドへ運んだ。5月24日以来の1発。1、2回には菊池、田中が2ランを放ち、先発の黒田博樹投手(41)の日米通算198勝を全力援護。ビッグレッドマシンガンが頼もしい。

 どでかい1発が帰ってきた。とどめを刺したのは主砲エルドレッドの一振りだった。5点リードの6回。低めのフォークに上半身を一瞬止めてすくい上げた。打球は右翼スタンド最前列に着弾。「感触は良かった。いいスイングだったと思う。しっかり流せて打てた。勢いで柵を越えた。投打がかみ合ったグッドゲームだね。これで乗っていけると思うよ」と笑顔だった。

 14試合ぶりの感触だった。5月24日巨人戦(マツダスタジアム)で2発を含む4安打を放って以降急降下。13試合で46打数4安打に終わった。3割7分8厘で首位打者だった打率は試合前の時点で3割1分4厘まで落ち込んだ。「ミスショットが多くなっているんだ」と頭を悩ませ、不調の波にのみ込まれていた。

 我慢の起用が復調の気配を導いた。「フォーム的なところも崩していたが、一昨日の練習から兆しがあった」と緒方監督。前日9日を休養日に当てたことで、気分一新の1発だった。来日5年目。エルドレッドは「僕のことはすべて知ってくれている。いいときも、悪いときも。そのメカニックもね」とうなずく。素直に耳を傾ける性格も、強い責任感も周知の事実。「調子は戻ってきたよ」と、また親指を立てた。

 休養日だった9日の札幌ドームの試合前には、8日の試合で右スネに死球を受けた小窪を呼び止めた。「へいボボ! ダイジョウブですか? ここ?」と日本語を話し、患部を指さした。「せや」と小窪が答えると強くたたくフリ。「あほ!」と笑う小窪の肩をたたき、親指を立てた。

 とけ込んでいるだけではなく、なくてはならない存在だ。3安打での復調気配はチームにとっても大きい。緒方監督は「これで乗っていってくれるんじゃないかな」と笑った。連勝で貯金は今季最多タイの7。2位巨人とは3ゲーム差に開いた。ビッグレッドマシンガンが快音を奏で続ける。【池本泰尚】