ソフトバンクが阪神に8-4で圧勝して、2年連続6度目の交流戦勝率1位を決めた。

 交流戦1位は2年連続だが、昨年とは明らかに違う要因があった。象徴したのは、10日の巨人戦。東浜が7回途中まで1失点で、セを代表する右腕菅野と投げ合った。勝ち星はつかなかったが、勝利に導く力投だった。開幕当初、東浜は先発で「6番目の男」だった。それが投げる度に成長を続け、相手エースを次々と打ち破った。この変貌が、歴史的な快進撃を支える。鍵を握るのが「工藤塾」の存在だ。

 東浜は4月15日の楽天戦で5回2失点で初勝利を挙げた。しかし球威や投げっぷりなど内容は物足りなかった。指揮官の評価も辛口だったが、そのまま1軍に残した。ここから2週間、1度も登板させることなく、独自のトレーニングを課した。昨秋のキャンプから導入した股関節や体幹を鍛える10種を超えるメニューをベースに、選手ごとにアレンジ。東浜の場合、指揮官は肩甲骨が十分に動いていないことに着目。ダンベルを使うなど同箇所の強化に励んだ。30年に及ぶ現役生活で培った眼力は的中。5月5日の日本ハム戦で、直球はプロ初の150キロを計測した。

 現在、強化指定のメンバーは東浜の他に千賀、岩崎、飯田、森福、岡本の計6人。先発陣は基本的に週4日がトレーニングに充てられ、試合開始から5回前後の約2時間、汗を流す。中継ぎ投手は試合前と試合後に分けて、メニューを消化している。工藤監督は「投げる日が一番楽だと思うぐらいやれ」とハッパをかける。強い体を作ることが、故障予防にもつながる。今季ここまで千賀と東浜で合計11勝0敗。森福は21試合連続無失点。岩崎はロング救援で1勝1セーブを挙げ、防御率0・90。次の登板に向けた調整ではなく鍛錬。そんな異例の育成法が強さの源だった。【ソフトバンク取材班】