逆襲への第1歩だ。阪神が、連敗を3で止めた。開幕時の1番に戻した高山と、改革の目玉だった2番鳥谷のコンビがマルチ安打で打線を引っ張り、実に17試合ぶりの5得点。負ければ最下位転落の可能性もあった中、先制、中押し、だめ押しの理想型だ。金本監督に久々の笑みが浮かんだ。

 「5点取ったの、久しぶりでしょ? 残塁は多いけど、点を取らないと波に乗れない。ここからエンジンかけていかないとね」

 坂井信也オーナー(68)も諦めてはいなかった。試合前には6月の定例報告の後に報道陣に対応した。「追いつくまでに時間がかかるゲーム差ではあるけど何が起こるか分からん。それを目指して(フロントも現場も)頑張ります」。

 球団史上、過去最大の逆転優勝は64年の6・5ゲーム差だ。だが虎のトップはあらためて金本体制の全面バックアップを約束し、ネバーギブアップを宣言。さらに金本監督が進める「超変革」にも「一生懸命やってますやんか。ことさら言うことはないです」と合格点を与えた。補強に頼らず、高山、原口、北條、中谷ら若手を積極起用してチームをつくり直す姿は、まさしく求めてきた形だ。

 オーナー発言を聞いた金本監督も「全然諦めてないよ」ときっぱり。「(落球など)こんなに悪いことはあり得ないぐらいのプレー、アンラッキー、不運が続いた。(運も)たまっていると思う。いい潮目に変わるというか、絶対いい流れが来ると思うんで」。ネバーギブアップで戦っていく。【松井清員】