オリックスが痛快な首位いじめで後半戦快勝スタートだ。決めたのは、ある意味でもっとも想定外の1発だった。3回2死満塁。チームの満塁弾は昨年がゼロ。12球団で一番遠ざかっていた。そんな状況でT-岡田外野手(28)が打った。ソフトバンク東浜の内角カットボールを豪快に右翼スタンドまで届けた。

 「久しぶりに芯に当たった。完璧です。とにかく悔いが残らないように、積極的に打ちにいった。最高の結果になって良かった」

 チーム2年ぶりグランドスラム。T-岡田にとっては本塁打王に輝いた10年の9月16日西武戦以来2132日ぶりだった。ソフトバンクの特別イベント「鷹の祭典」で青く染まったスタンドに沈黙が訪れた。

 前半戦の最後は7試合で3安打のみ。4番を任され続けたが、結果が出なかった。球宴休み中も気を緩めることなく自宅で映像を確認。「良かった時の感覚と照らし合わせたりしていた。久しぶりにチャンスで打てた。これをいいきっかけにしたい」とうなずいた。

 5回は飯田から右前に落とす適時打で、自己最多タイ5打点。「いい追加点になった」とうなずいた。ヤフオクドームは昨年まで打率1割台と苦手にしていたが、今季3割7分5厘と好相性。首位を走るソフトバンク戦の今後もキーマンとなりそうだ。

 「4番らしい、いい1発だった。続けていってもらえれば」と福良監督が目を細めた。T-岡田は「まだまだ借金がある。1つ1つ勝っていくだけ」とチームの声を代弁した。主砲が打ち、投手陣も完封リレー。借金19の最下位だが、こんな勝ち方ができる。これから混パを呼ぶ存在になるかもしれない。【大池和幸】

 ▼オリックスT-岡田の満塁本塁打は、10年9月16日西武戦以来2132日ぶりで、自身プロ2本目。チームでは、14年6月11日DeNA戦の駿太以来、768日ぶり。12球団で最も満塁本塁打から遠ざかっていたチームだった。これで満塁弾の両リーグ最長ブランク球団は阪神となった。14年8月5日ヤクルト戦での新井貴以来、713日出ていない。