「神ってる」世代だ!! 途中出場の広島西川龍馬内野手(21)がプロ2度目のマルチ安打で、この日初めてリードを奪った得点劇を演出した。同学年の成長株鈴木も認めるルーキーが、敗戦の中で意地を見せる輝きを放った。25年ぶりの優勝へ向けて、27日にもマジックが点灯するチームで存在感を見せつけた。

 スナイパーのように、1球で獲物を仕留めた。1点を追う4回。西川は代打で、24日ぶりの打席に向かった。メッセンジャーの浮いた球を捉えると、右翼フェンス直撃の二塁打とし、反撃ののろしを上げた。5回は148キロの直球を左前へ。いずれも初球だった。6月30日ヤクルト戦の1打席以来、今月初打席だった。実戦勘は鈍っても、嗅覚は研ぎ澄まされていた。

 「神ってる」鈴木が、認めた新人だ。1月、ソフトバンク内川との自主トレから広島に戻った鈴木は、同学年の新人の打撃を目の当たりにし、衝撃を受けた。「天才と思った。しっかりしないと、やばいなと感じた」。合同自主トレの充実感も吹き飛ぶ打撃に、鈴木は危機感を強めたという。

 西川もまた、同学年のレギュラー、鈴木に刺激を受ける。「誠也こそ天才でしょ。打ち損じがない。これまで同じチームの同学年で自分よりすごいと思った選手は初めて」。敦賀気比では2年生からレギュラーで、3年では主将を務めた。「甘えてしまうと思った。自分で稼ぎながら野球をやろうと思った」と順調にステップアップ。当時から野球で飯を食べていく覚悟を決めていた。

 出場機会が限られた中で、貴重な控え選手として存在感を示す。途中出場ながら、プロ入り2度目の1試合複数安打。2割7分3厘だった打率は3割台に乗った。

 一時は逆転となった反撃を演出した西川の打撃も勝利にはつながらず、チームの連勝は止まった。それでも最短で27日にマジックが点灯。明日26日からはマジック対象球団の巨人3連戦を迎える。25年ぶり頂点へ確かな足取りを見せるチームだが、一戦必勝の姿勢は崩さない。これからの戦いが、より厳しいものになる。だからこそ、この日の西川のようにベンチで控える切り札たちの働きがラストスパートの促進力となる。【前原淳】

 ◆西川龍馬(にしかわ・りょうま)1994年(平6)12月10日、大阪府生まれ。敦賀気比-王子から15年ドラフト5位で広島入団。敦賀気比では3年春にセンバツ出場。王子では15年に社会人日本代表に選ばれ、アジア選手権に出場。入団1年目から開幕1軍入りを果たした。176センチ、68キロ。右投げ左打ち。