地元胴上げじゃ! 広島が優勝マジックを2とし、今日にも25年ぶりのリーグ優勝が決まる。真っ赤に染まったマツダスタジアムでの中日戦。3点リードの6回、丸佳浩外野手(27)の18号ソロで勝利を引き寄せ、球団史上初めて80勝に達した。今日8日、中日に勝ち、巨人が阪神に負ければ、91年以来、四半世紀の空白を埋める歓喜が来る。

 スタンドでは「M2」のボードがいくつも揺れた。お立ち台から、真っ赤に染まったスタンドを見つめた丸は「個人的には、ここで胴上げできるよう、チーム一丸で戦いたい」と叫んだ。6回、欲しかった追加点を決めたのが丸だ。「吉見さんが左打者の内角に投げていたので狙ってみようかなと。いい意味で思い切りよく行けた」。内角スライダーを狙い打ちした打球は、広島ファンで埋まる右翼席に吸い込まれた。

 神懸かり的な勝ちっぷりでマジックを減らしている。まず1回。2死二塁で新井が一塁へのゴロに打ち取られるも、中日森野がトンネル。二塁走者の丸が先制のホームを踏んだ。まさかの適時失策で主導権を握った。

 スイッチが入れば、もう止まらない。2回には先頭の松山がプロ5本目の三塁打。フェンス直撃の打球に全速力で走った。最後は体を揺らしスライディング。拳を突き出す一塁側ベンチに肩を上下させながら応えた。1死三塁からは会沢が中前にしぶとく落とす適時打だ。「初球から積極的にいけました。落ちてくれてよかったです」と会沢。会心ではなくても、流れに乗って追加点を奪っていく。

 2死二塁となってからは田中が中前適時打。「打ったのはフォーク。良い追加点になってよかったですね」と振り返った。2回までに3得点。勢いそのままに、8月11日からマツダスタジアム9連勝だ。そして6回に丸が18号。今季11度目の猛打賞と気を吐いた。

 積み重ねた白星は、球団史上初めて80勝に達した。貯金も80年の球団タイとなる33。今日8日、巨人が負けて広島が勝てば、25年ぶり優勝が地元で決まる。この日の試合後、降雨の中、歓喜のときを待ち切れないファンが既に列をつくり始めた。緒方監督は「もう選手、ファンの思いも、このマツダで何とかというところだと思う。また明日、しっかりと戦いたい」。25年分の喜びに思いっきり浸る時はもうすぐだ。【前原淳】

 ▼広島が今季80勝目を挙げ、貯金を33に増やした。貯金33は80年に並び球団最多で、80勝到達は球団史上初。現12球団で広島だけ80勝したことがなかった。これでM2。今日の試合で広島○、巨人●ならば優勝が決まり、90年巨人に並ぶ2リーグ制後の最速V決定日となる。広島は過去6度優勝しているが、5度はM1からで、M2から一気に優勝は80年だけ。80年は10月16日にM2となり、17日に広島が阪神に勝ち、2位ヤクルトが中日に敗れて優勝が決まった。