京セラの皆さん、お待たせしました! オリックスのドラフト1位ルーキー吉田正尚外野手(23)が、本拠地初アーチで逆転勝ちに導いた。6回2死一塁で左越えの6号同点2ラン。6アーチは12球団の新人で最多だ。14勝でリーグトップのソフトバンク和田に打線が5回まで無安打と沈黙していたが、この日初対戦の新人が攻略してみせた。

 「日米でキャリアを積んでいるすごい投手。最初はタイミングが取りづらかった。打てて良かった」。これでムードが一変。8回の勝ち越しにつながった。福良監督は「(吉田)正尚の1発で流れが変わった。大きかった」と絶賛した。

 新人で3番を任され、8月には楽天則本から2打席連発。だが他球団のマークも厳しくなり、ここ4試合は16打数1安打と下降線だった。「捉えたと思った球がファウルだったり、イメージにズレがあった。状態がよくない中での1発は大きい」と喜んだ。

 初めて流し打った一撃が成長の証しだ。4月に腰痛で2軍調整中は、DeNA筒香や日本ハム大谷の打撃を研究。「2人は左に大きいのが打てる。逆方向にも打てればヒットゾーンも広くなる」。理想の打撃にまた少し近づいた。

 先日はチーム関係者を通じて、目標とするナショナルズのブライス・ハーパー本人のバットをプレゼントされた。吉田正のテンションは急上昇。「すごいですよね。試合ではとても使えませんよ。素振りの時に使ってます」。メジャー本塁打王を意識しながらスイングを繰り返している。

 「早い段階でホームで1発打ちたかったし、打てて良かった。残り試合で1本でも多く打ちたい」。本拠地のお立ち台も初めて。ファンの歓声に照れくさそうに笑った。【大池和幸】