リプレー検証も「突破」弾! 広島丸佳浩外野手(27)が8回、自己最多となる今季20号を左翼スタンドに放り込んだ。スタンドの観客が中日の左翼手工藤の捕球を妨害した疑いもあり、1度はリプレー検証に。しかし判定はそのままで、大台の20号に乗せた。チームは敗れてマツダスタジアムでの連勝は12で止まったが、勢いは止まらない。

 二塁ベースを回ったところで、丸は1度スピードを緩めた。「よく見えなかった」。左翼スタンドへ向かった打球。中日の左翼工藤のジャンプは、捕球へタイミングが合っていた。しかし実際は左翼スタンドの観客がグラブを出して工藤より先にキャッチ。観客が差し出したグラブがフェンスを越えてグラウンドの空間に入っていれば、判定は覆るところだった。

 首をひねる工藤。審判団はリプレー検証に入った。丸はホームインし、ベンチに座っていた。自己最多の20号がかかっていたが「二塁打なら二塁打で、(打点王がかかる)新井さんに好機でまわるので」と冷静だった。昨季、甲子園で“幻の本塁打”を放った田中からは「二塁打でしょ!」といじられていた。約10分後。橘高責任審判より「観衆の妨害はなく、判定通り本塁打」とアナウンスされ、いたずらっぽく笑った。

 4点を追う8回に出た20号2ランが「なんやかんや」ありながらも成立。2年連続で19発止まりだった壁を越え、自己最多を更新した。「いいきっかけというか、1つ壁を越えられたのはよかった」。打点も90打点の大台に乗せた。ビッグレッドマシンガンを象徴する勝負強さ。「前の打者のおかげなので。多いに越したことはないですけどね」とクールに振り返った。

 チームは敗れ、マツダスタジアムでの連勝は12でストップ。丸自身も5回の守備で中前打を後逸する失策を犯してピンチをつくっただけに「ああいうことは起こさないようにしないと。打撃がよくても守備で足を引っ張っては話にならない」と猛省した。ただ緒方監督は「20本に乗せたかったと思う。逆方向に、いい本塁打だったね」。反省も忘れないが、広島のムードは最高潮のままだ。【池本泰尚】