プレーバック日刊スポーツ! 過去の10月12日付紙面を振り返ります。2009年の野球面(東京版)では、中日落合監督がシーズン最終戦で退場したことを伝えています。

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<ヤクルト4-3中日>◇2009年10月11日◇神宮

 中日落合博満監督(55)が11日、レギュラーシーズン最終戦で衝撃の退場劇を演じた。ヤクルトとのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ前哨戦で、1点リードの7回にデントナの逆転2ランの判定をめぐり5分間を超えて抗議。その際に守備についていた野手を全員ベンチに引き揚げさせ、放棄試合も辞さずの構えをとった。試合は17分後に再開され、3-4で敗戦。ハーラーダービー単独トップを狙った吉見の17勝目は吹き飛び、後味の悪さが残った。

 問題のシーンは7回、中日の守りで起こった。3-2と追い上げられ、なお1死一塁の場面。デントナの左翼ポール際への大飛球が本塁打と判定された。これに対し左翼手和田らが「ファウル」を主張。落合監督がベンチを出て抗議の姿勢をとった。審判団は二塁ベース付近で協議し、同監督に判定を覆さないことを通達。しかし規定の5分が経過するころ、落合監督が守備につく野手全員に両手でベンチに引きあげるよう指示。同時に、抗議に加わった森バッテリーチーフコーチが激高して審判団ともみ合い、球場は騒然とした空気に包まれた。17分後に再開され、落合監督はベンチに戻らずに三塁側ファウルゾーンから退場。森コーチが代理で指揮をとった。

 抗議の焦点となったのは、球場の電光掲示板に流れた映像だった。ファウルともホームランともとれる微妙な映像。落合監督は、こう説明した。「フェアかファウルかが問題ではない。あの映像が流れたことが問題なんだ。あれを流した以上、オレは出ていかなくてはならない。退場にならなければ収まりがつかないだろう。判定が覆れば、高田監督が退場にならないと収まらない。監督が退場しなければ収まらないんだ。審判も被害者だ」。覚悟の退場だった。

 セ・リーグ審判から各本拠地にはあらかじめ「微妙な打球はリプレーを流さないでほしい」と要望が出されていた。また来季導入されるビデオ判定は、今季は試験的に運用されている段階。そもそも本格導入されても球場の電光掲示板に流す予定はない点を、落合監督は問題視した。

 チームは逆転負けとなり、吉見のハーラー単独トップの17勝目は消えた。ヤクルト戦は11勝13敗で2年連続負け越しが決定。後味の悪さを抱えながら、17日からのCS第1Sでヤクルトと再戦する。

 ◆佐々木三塁審判(デントナの本塁打判定で落合監督の抗議に)「落合監督からは、映像がスコアボードに出た以上、判定を変えないと収まらないと言われました。4人で協議してホームランと判定しましたと伝えました。ああいう微妙な映像は流さないように球場に要望していたのに、流れてしまった。あとで控え審判(名幸審判)にやっぱりホームランだったと聞いてホッとしました」

 ◆リプレー騒動 95年7月21日ヤクルト-横浜16回戦(神宮)の9回2死、ヤクルト古田がフェンス直撃の中越え二塁打を放った。場内が「サヨナラ本塁打か」とざわめいた微妙な打球だったが、直後に電光掲示板にリプレーが流れた。小林毅球審はこれを見て放送室に「そんなVTR流すな」と抗議。審判部と各球場の申し合わせ事項として、ファンの騒動を招くようなVTRを流さない、という取り決めがあったためだった。

 ◆退場した中日落合監督が指摘した電光掲示板のリプレー映像に関し、神宮球場の電光掲示板を管理する関係者は「明らかに本塁打だったので(再生映像を)流した」と説明した。後味の悪い結果へつながっただけに、今後のさらなる徹底が必要となりそうだ。

※記録と表記は当時のもの