投げて、打って、走って、広島黒田博樹投手(41)が7年連続2桁勝利を記録した。激走が逆転を呼び込んだ。1点を追う6回。中前打を放ち二塁進塁後、エルドレッドの左前打で三塁を蹴って一気に本塁を駆け抜けた。一塁のときから第2リードを繰り返した好スタートが同点を呼び、松山の勝ち越し打を生んだ。

 投げては1回に1点を失うも、2回以降は要所を締め、5回から完全投球。「一発勝負になると走者が出ようが、1点に抑える、最少失点に抑えることが大事。今日はそれができたんじゃないかなと思います」。7回82球でCSへ向けた最終登板を終えた。

 2桁勝利には冷静だ。「先発の勝ち負けは自分自身でコントロールできない。毎年ケガをせずコンスタントに投げてこないと、そういう数字にはならない」。積み重ねた投球回は日米通算3340回2/3。「簡単なように見えて大変なこと。その準備をしてマウンドに上がってそれだけのイニングを投げていくことは大変。ただ、それを聞くとあちこち痛くなる」。参考記録ながら工藤(現ソフトバンク監督)の3336回2/3を超え、歴代16位となった。

 球団最高勝率での優勝を先頭に立って引っ張った。日米200勝を達成した記念につくった腕時計、赤いオリジナルの「G-SHOCK」とTシャツをチームメートや裏方全員に自費でプレゼント。常にチーム一丸を胸にした。「準備の仕方は体を見ながら、コーチと話をしながら決めていきたいなと思います」。実戦形式の調整登板を経て、14日先発へ。戦いはまだ終わっていない。黒田の目がそう言っていた。【前原淳】

 ▼41歳の黒田が10勝目を挙げた。昨年は11勝しており、40代で2度の2桁勝利は山本昌(中日)以来4人目で、2年連続は48、49年若林(阪神)04、05年工藤(巨人)に次いで3人目。黒田は今年も規定投球回をクリア。山本昌と工藤は40代で2桁勝利が2度あるものの、規定投球回到達は1度だけ。40代で規定投球回を2度クリアしたのは48、49年若林に次いで2人目となり、2リーグ制後は黒田が初めて。