日本ハム中田翔内野手(27)が、12日からのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージに向けて“号砲”を鳴らした。7日、札幌ドームで行われた紅白戦に「4番・一塁」でスタメン出場。1回の第1打席に左翼ポールを直撃する3ランを放った。5日の紅白戦も3打数3安打1打点の“猛打賞”だったが、CSへの実戦調整で5打数4安打4打点という好調ぶりだ。

 強烈な号砲を鳴らした。1回の第1打席。一、二塁に走者を埋めたチャンスで、中田のバットが快音を発した。新人王候補・高梨の内角高め、甘めに入った直球141キロを引っ張った。左翼ポール直撃の3ラン。ヘルメットを脱ぎ、優勝決定直前の9月27日西武戦後に刈り上げた丸い頭とともに、両拳を突き上げた。「すごくいい打席になったね」。シーズン中は控えている派手なパフォーマンス。内野席に観衆1万1278人が詰めかけた一戦で解禁し、盛り上げた。

 この日の紅白戦は今夏、北海道を襲った台風の被災地支援「チャリティーマッチ」として開催された。入場無料も、各ゲートに募金箱が設置された。ファイターズガールのダンスパフォーマンスや客席へのサインボール投げ入れなどを公式戦同様に実施。中田は「久々に、ちょっと気合も入った。お客さんがいるといないのでは違う」と、本番さながらの舞台に発奮。12日から本拠地で行われるCSファイナルステージを心待ちにするファンへ、一足早い興奮を届けた。

 CSでは2年前の14年に主砲として爆発した“実績”を持つ。オリックスとのファーストステージ第3戦から、ソフトバンクとのファイナルステージ第3戦まで4試合連続本塁打。プレーオフ、CS、日本シリーズを通じて史上初の記録を打ち立てた。ソフトバンクに3勝4敗で3位からの下克上はならなかったが、あと1歩まで追い詰める立役者となった。

 この日は風邪の症状があり、4回終了時点で帰宅。熱はなく、鼻水とのどの痛みを訴えていたため早上がりした。それでも、シーズン終了後、初の実戦形式だった5日の紅白戦で3打数3安打、この日の1発を加えて5打数4安打4打点に「しっかり振れているので問題ない」と短期決戦へ、自らGOサインを出す好調さ。栗山監督も「調整は任せている」と変わらぬ信頼ぶりだ。

 明日9日の紅白戦(札幌ドーム)が、CS前の最後の実戦形式の練習となる。上り調子の中田だが、油断も、慢心もない。「最後にまた(守備について)守って、自分自身の感覚を取り戻していきたい」。ポストシーズン全試合、打って、守って、10年ぶりの日本一へ。不動の4番が、中心になる。【田中彩友美】