まるでジーターの再来だった。三塁に挑戦している阪神中谷は秋季練習で甲子園の遊撃に就き、フットワークの習得に励んだ。高代ヘッドコーチが「天性のものを持っている」と高評価するように、187センチの大柄な体でも軽やかに動き、柔らかいグラブさばき、送球を披露した。

 前日10日は三塁でゴロを捕ったが、その際も高代コーチが「資質あるよ」と評していた。2日連続で守備のエキスパートをうならせるなど、センスをかいま見せた。この日は遊撃に回ったのも、高代コーチが「足を動かすのは三塁じゃなく、遊撃がいい」と話すように、捕球から送球へのスムーズなステップを身につける意図もあった。

 巨体が際立つが、よどみなく動く。誇張する例えだが191センチで元ヤンキースのスーパースター、デレク・ジーターをほうふつさせるシルエットだった。

 阪神では久しく大型内野手が育たない。久慈内野守備走塁コーチも「小柄な選手じゃないから難しい。僕らが教わってきたことが当てはまるか。長い目で見ながら」と話すように試行錯誤が続く。この日、守備は堅守を誇る大和、今成と同組で練習した。中谷は「見習うところは見習っていきたい。まだまだです。これからなので頑張ります」と言う。“大きな”チャレンジは始まったばかりだ。【酒井俊作】