連覇へ期待の左腕獲得!! 「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が20日に都内で開催され、日本ハムは広島新庄・堀瑞輝投手(3年)を1位指名した。創価大・田中正義投手(4年)、桜美林大・佐々木千隼投手(4年)を抽選で外し、三度目の正直で指名した堀は、1年で約10キロ球速が増した成長中の左腕。即戦力の呼び声もあり、将来性も高い。今季4年ぶりにパ・リーグ覇者となったチームにまた1人楽しみな逸材が加わる。

 マウンドでは表情を表に出さない堀の表情が緩んでいた。校長室で待った指名は、予想よりも早かった。創価大・田中、桜美林大・佐々木を抽選で外した日本ハムからの1位指名に「1位ではないだろうなと思っていたんですけど、1位で指名してもらえてすごくありがたいです」。うれしかったのは高評価だけではない。

 「大谷選手がいるので、しっかり見習ってやっていきたいと思います。打者に向かっていく気持ちを学べたらなと思います」

 今夏、広島新庄を2年連続夏の甲子園に導いた左腕は、国体で自己最速を更新する150キロを計測。昨夏から8~9キロ増も「切れで勝負したいんですけど、切れがあっても遅かったら意味がないので、スピードもほしい。欲を言えば155キロまで出せれば。165キロ? 出せたらいいですけど、遠いかな」とニヤリ。日本が優勝したU18アジア選手権で守護神を務めた逸材は、日本最速右腕に早くも弟子入りを志願した。

 海の街、呉市から県北の広島新庄に進学した。冬は積雪で練習が限られる。だが、環境をプラスに変えた。名物練習である“長靴ロードワーク”。長靴を履いて約10キロを走破。「あまり蹴ることができないし、重たい」と土台となった。プロ野球人生は最北地に本拠地を置く球団となった。久枝校長から「ここと似ているところだからいいんじゃないか」と声をかけられた堀も「めちゃめちゃ暑いよりは寒い方がいいかな」と笑顔。家族と旭山動物園などに旅行した小学生以来の北の大地でプロ野球人生の1歩を踏み出す。

 チームは日本シリーズのため前日広島入り。堀は偶然にも知人からの招待で、来週末の6、7戦目を観戦する予定だった。「どっちを応援したらいいか分からないですね。日本ハムが指名してくれたので日本ハムを応援した方がいいのかな」。幼少期から球場に観戦してきた地元球団への思いは残る。だが、来年には身も心も道産子となっていることだろう。【前原淳】