巨大戦力に立ち向かう。ロッテのドラフト1位、桜美林大・佐々木千隼投手(22)が24日、東京・町田市内の同大で球団の指名あいさつを受けた。最速153キロ右腕は、アピールポイントを「闘争心」と強調。強豪私学ではなく都立高校から甲子園を目指したように、プロでも強力打線を擁するソフトバンクとの対戦を楽しみに挙げた。

 真っ黒に日焼けした顔を、キリリと引き締めた。指名あいさつ後の会見。「アピールポイントは?」との質問に、佐々木は「闘争心です。打者に向かう姿勢が大事。プロでもやっていけたらいい」と即答した。外れ1位とはいえ、ドラフトでは5球団が競合。林球団本部長から「先発ローテに入る活躍を」と期待された右腕は、150キロ超の直球でも、宝刀シンカーでもなく、心を武器に挙げた。

 10代半ばで選んだ道に、生きざまが詰まっている。中学3年だった09年、夏の西東京大会準決勝の日野VS日大三を観戦した。甲子園の常連・日大三に、日野は惜敗。佐々木は「都立でもこういう試合ができる。ここで野球がやりたい」と進学先に地元の日野を選んだ。自らも3年の準々決勝で日大三に敗れた。夢はかなわなかったが、強者に挑む哲学が「闘争心」を生んだ。

 プロでは、屈指の強力打線ソフトバンクとの対戦に「今から楽しみです。持ち味を出せたらいい」と声を弾ませた。“前哨戦”が31日に待っている。明治神宮大会の出場権を争う関東選手権の1回戦で、ソフトバンク1位の田中正義投手を擁する創価大とぶつかる。くしくも、田中はロッテがドラフトで最初に1位指名した投手。因縁は尽きない。佐々木は「まずは、そこで勝ちたい」と宣言した。

 都立高校初のドラフト1位で、桜美林大初の支配下指名。初ものずくめだ。「同じ新人には負けたくないです」と、新人初勝利も譲れない。歴史に名を刻む男になる。【古川真弥】