オリックス糸井嘉男外野手(35)が国内FA権の行使を表明した。7日、京セラドーム大阪内の球団事務所を訪れ、申請書類を提出。1日に権利行使の決断をオリックスに通知後、初めて会見に応じた。残留か移籍か悩める胸中を明かし、阪神が手を挙げることが確実視される報道に「選手としてすごくうれしい」と語った。虎が速攻アタックの準備を進めている今オフFA市場の目玉が、ついに動いた。

 糸井はベージュのスーツに身を包み、久しぶりに報道陣の前に姿を見せた。事務所でオリックス長村球団本部長にFAの申請書類を提出後、取材に応じた。慎重に言葉を選びながら、まずはFA宣言に至った胸中を素直に明かした。

 「(投手から転向後)野手をやって10年たった。FA権を取れるとは思わなかったけど、こうやって取れるようにまでなって、手を挙げてくれる球団もあるかもしれないというところで、そういう話はちゃんと聞いてみたいなと思った」

 1日にオリックスに権利行使の決断を連絡した際には「夜も寝ずに考えた」と伝えた。親に相談するなど、かなり悩んだようだ。

 「トレードでオリックスに来て4年たつが、すごく思い入れもあるし…。FAをするということは(オリックスから)出る可能性もあるということなので、1日1日、気持ちは朝起きたら変わったりして、結構悩みました」。オリックスから受けた4年最大18億円(推定)の条件には「余るくらいの評価をしてもらっている」と感謝した。

 10日にFA宣言選手として公示され、11日に他球団との交渉が解禁となる。阪神が名乗りを上げることは確実。そんな報道がされていることには「やっぱりそうやって言ってくださるのは、選手としてすごくうれしいことだと思います」。評価する球団があることに喜びを隠さなかった。

 残留か、移籍か。その判断材料を聞かれ「まだ野手をやって10年なんで、逆に言えば、まだまだ伸びしろもあると思っている。自分がもっと成長できると思うところでやりたい」と語った。新たな環境に身を置きたいとも受け取れるが…。

 阪神は11日に即日アタックを予定。金本監督の出馬準備も進んでいる。「まだこれからも悩むと思う」と糸井は言葉を継いだ。日本ハムからトレード移籍の際は涙を流した。その4年後に迎えた野球人生最大の分岐点。結論が出るまで、また眠れぬ日々が続きそうだ。【大池和幸】

<糸井一問一答>

 糸井 今日、正式に。1日に「FAします」と言ってから時間がたってましたけど、(背番号でもある好きな数字の7に引っ掛け)7日やったので今日にしました。

 -オリックスへの感謝、愛着も強い?

 糸井 もちろん、そうですね。あります。

 -他球団と交渉後、オリックスと再交渉の可能性は?

 糸井 もちろんです。

 -残留の可能性も?

 糸井 今はどうか分からないが、お話をしっかり聞いたりして(決めたい)。

 -複数回、交渉を望む球団があればどうする?

 糸井 まあでも、早い段階で決めないといけないなとは思う。できるだけ早く。球団の編成にも迷惑をかけるので。

 -成長できる環境とは具体的には?

 糸井 う~ん、言えん。

 -現在は大阪でトレーニング中?

 糸井 ええやん、どこでも。トレーニングはしてるよ。見てよ、体。パッツンパッツンやろ。