新たな勲章を加えた。日本ハム大谷翔平選手(22)が28日、タイトル獲得者らを表彰する「NPB AWARDS 2016 supported by リポビタンD」でパ・リーグの最優秀選手(MVP)に初選出された。史上初めて投手と指名打者でベストナインを同時受賞したのに続き、最高の栄誉を手にした。

 ベストナインが並ぶ壇上で日本ハムの大谷は「数多くの素晴らしい選手の中から自分がこのような賞をいただけて光栄。プレッシャーや刺激を与えてくれる他球団の選手の方々に感謝したい」と喜びをかみしめるように言った。4年目で名実ともに球界の顔となった。

 投打の「二刀流」をハイレベルでこなし、球界を席巻した。「思い出に残っている」と挙げたのは「1番・投手」で出場し初回先頭打者本塁打を放った7月3日のソフトバンク戦。投手としては終盤戦で勝負強さを発揮した。特にリーグ優勝を決めた9月28日の西武戦は1安打完封の快投。今季最高の投球と振り返り「いい投球ができた」と自賛した。

 無冠のMVP受賞だ。昨季は最多勝利、最優秀防御率、最高勝率の投手3部門で頂点に立ったが、今年はコンディション不良もあり規定投球回にも届かなかった。打撃部門でも、打率3割2分2厘、22本塁打とタイトルなし。それでも、投手3位までを連記する方式のMVPの投票で、有効投票を投じた254人中253人が1位票を投じ、残りの1人も2位とする圧倒的な高評価だった。

 5年目となる来季以降、狙うタイトルを問われると即答した。「全部、とりたいです。三振とか…。沢村賞? 全部、高い数字を出さないと取れない。とっておきたいというのはありますね」と、まだ獲得していない最多奪三振と沢村賞に意欲を見せた。先発投手として受賞可能な部門をキャリアの中で今後、総なめにする決意を隠すことなく披露した。

 将来的には米大リーグへ挑戦する夢を持つ。花巻東時代、世界一の選手になると目標を設定。4年目の今季も近づくように、さらに覚醒した。まだ無限の自分の可能性を信じるだけに、自らに課すハードルは高い。「果たしてどれが世界一のレベルかっていうのは分からない。1年、1年やってきた中で、ここまで来たという感じ」。来季は節目となる5年目。WBCも控え、世界へ飛び出す1年になる。大谷が、大志を抱いてステップアップしていく。

 ▼大谷は規定投球回に3回足りなかった。規定投球回不足の投手がMVPを受賞したのは79、81年江夏豊(所属は79年広島、81年日本ハム)88年郭源治(中日)98年佐々木主浩(横浜)11年浅尾拓也(中日)に次いで5人目(6度目)で、パでは江夏以来35年ぶり。先発投手では史上初。