巨人高橋由伸監督(41)が2人の刺客を送り込む。国内フリーエージェント権(FA)を行使し、DeNAから加入の山口俊投手(29)、ソフトバンクから加入の森福允彦投手(30)の入団会見が5日、都内で行われた。山口俊は3年総額約7億円で背番号42、森福は2年総額約4億円で背番号13(金額は推定、ともに契約延長オプションつき)。現役時から対戦し、特長を知り尽くす指揮官は2人の実力を高く評価。山口俊、森福も役割を自覚し、新天地に挑むことを誓った。

 緊張する2人に高橋監督が助け舟を出した。晴れの入団会見も名門ならではの重厚な空気が漂う。森福が冒頭で、なかなか言葉が出てこない場面もあった。指揮官は2人への期待を聞かれ、マイクを持つと「もう巨人に入ったから『~君』『~選手』はつけないよ」と、それぞれ名前を呼び、場をほぐした。

 「森福は左の変則。私は左打者だったから。出てきたら嫌だ、もうすぐ出てくるなと。1イニング、回またぎも経験し、ピンチを助けてくれる。山口は100球を超えても150キロ近い球を投げ、タフさを実感している。完投で他の投手を休ませてくれる」。過去の対戦の記憶をひもとき、高評価の言葉を並べた。

 森福のミッションは左殺し。DeNAには今季、巨人投手陣が苦しんだ筒香が、阪神にはFA移籍の糸井と球界屈指の左打者がセ・リーグにいる。だが変則左腕は堂々と言った。「2人とも球界を代表する打者で巨人は苦しめられた。でも僕は嫌なイメージはない」。対筒香は4打数4三振、対糸井は40打数5安打12三振の実績が物語る。

 山口俊は持ち場を9回まで渡さないことを求められる。今季5完投の右腕は「先発である以上、1試合でも多く完投、貯金できるように」と誓った。また筒香ら古巣打線に「今年は何度も助けてもらったが、逆に来年はシャットアウトできるように」と意気込んだ。

 FA戦士の最大任務は優勝だ。「高橋監督を今まで一番高く胴上げできるように」(森福)。頼もしき2人の刺客を高橋監督が携える。【広重竜太郎】