アップ率も神ってる!! 高卒4年目の大活躍でリーグ優勝に貢献した広島鈴木誠也外野手(22)が14日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約交渉に臨み、1700万円から約3倍増となる年俸6000万円でサインした。打率3割3分5厘、29本塁打、95打点をマークした大活躍にもシンデレラボーイは満足せず、「打率10割」など「神の領域」への挑戦を自分に言い聞かせた。

 今年描いた成長曲線のような年俸の上昇カーブに、「神ってる」といわれた鈴木の表情も緩んだ。「思っている以上に評価してもらった。ここまで上がると思っていなかった」。提示額に思わずニヤリ。だが、今季残した成績には笑みを浮かべることなく、真っすぐ前を向いた。

 「成績に関しては正直、何とも思っていない。もっともっと上を目標としてやっている。その過程でいい結果が出せたのは良かったですけど、まだまだ全然満足していないですし、自分が思っている野球とはほど遠い。来年はまた新しい自分に出会えるようにやっていきたい」

 右翼の定位置をつかんだ16年シーズン。6月17日からのオリックス3連戦で3試合連続決勝弾。特に18日の2戦連続サヨナラ弾で緒方監督からたたえられた「神ってる」のフレーズは、流行語大賞を受賞した。打撃3部門で自己最高の成績を残し、ゴールデングラブ賞とベストナインに選ばれた。だが「まだレギュラーと思っていない。監督が『神ってる』と言ってくださったおかげで注目してもらえた。来年は自分の結果でみなさんに注目されたい」と言い切る。達成感はあっても、満足感はない。

 会見ではその流れで、究極の目標まで口にした。「打率10割、200本塁打、1000打点」。完璧主義者の理想は高く「今年1軍に上がってきて、1打席目で凡退した時点で満足していない」と言い切った。

 貪欲な若武者が目指す頂の過程には、トリプルスリーという目標もある。「プロに入ってから目標にしていた。目の前で山田哲人さん(ヤクルト)がやっているので、僕もやりたいという思いは毎年強くなっている」。今季は打撃3部門だけでなく、16盗塁も自己最高だった。可能性は青天井。「神ってる」で注目された男は、神の領域に手を伸ばす。【前原淳】(金額は推定)

 ◆広島の契約更改メモ 鈴木が253%アップの6000万円で更改。今オフの広島の契約更改では中崎の102%(4200万円→8500万円)を上回り、昇給率で最高となった。鈴木は来季が5年目。広島の高卒野手が5年目までに年俸5000万円を超えたのは、94年前田智徳(4800万円→8800万円)以来になる。