プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月17日付紙面を振り返ります。2011年のこの日は、日本ハム・ドラフト1位の斎藤佑樹投手のイベントに1万1000人が詰めかけたことを報じています。

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 大フィーバーの中、得意のマイクパフォーマンスで、早くもファンの心をわしづかみにした。日本ハムのドラフト1位・斎藤佑樹投手(22=早大)ら新人6選手が16日、2軍本拠地・鎌ケ谷で行われた新入団選手歓迎式典に出席した。鎌ケ谷スタジアムには史上最多の約1万1000人が来場。第2クール初日のこの日は、遠投などで調整。その後のファン交流イベントでは、「早く北海道に行きたい」とジョーク交じりのトークで魅了した。

 球場上空を5機のヘリが飛び、内野スタンドと外野芝生のアリーナ、球場に入れなかったファンを含めて鎌ケ谷史上最多の1万1000人(球団発表)が詰め掛けた。初めてのファンとの交流イベントでフィーバーぶりを目の当たりにした斎藤佑が、〝伝家の宝刀〟を抜いた。鎌ケ谷の清水聖士(きよし)市長(50)に転入届を提出した、わずか数分後だ。

 ステージ上でマイクを手渡されると、有料入場者5400人(入場料500円)の前で笑みをたたえながら切り出した。「今日をもちまして鎌ケ谷市民となったわけですが、北海道日本ハムファイターズという名前の通り、1軍に行きたいという気持ちがあります。入って早々申し訳ないですが、早く北海道に行きたいと思っています…。でも決して鎌ケ谷の皆さんが嫌いというわけではありません」。寒さで引き締まっていた空気は、大爆笑で一気に緩んだ。

 早朝から雪が降り積もり、それでも一番乗りのファンは午前1時過ぎには駆けつけた。練習開始前の午前9時にはマイナス1度まで冷え込んだ。悪環境の中、自身のグッズが先行販売された球場前には長蛇の列ができ、タオルとTシャツ計400枚が約1時間で完売。「かなり来ていたんじゃないですか? (こんなに集まるとは)思ってもいなかったです」と驚くほどの大入りぶりだ。イベント中盤では同期の新人6人で考えたという人文字メッセージを披露。自身は勝利を誓う「VICTORY」の「T」を担当し、体全体を使ったパフォーマンスでも盛り上げた。

 一方で過熱するフィーバーについては冷静だ。「正直本意じゃないけれど、結果が出ないと苦しむのも自分なので。自分のまいた種なのでしっかりやっていかないといけない。プレッシャーを自分にかけて活躍できるように頑張りたい」と、本業を忘れてはいない。プロでは結果がすべて。成績を残さなければ、一人前の選手として認められないことは分かっている。前日15日の日本ハム本社の商品展示会、そしてこの日の歓迎式典でイベントは一区切りついた。合同自主トレ第2クール初日となったこの日は、初めてスパイクを履いて遠投。あとは2月1日のキャンプインまで、鎌ケ谷でプロとしての力を蓄える。

※記録と表記は当時のもの