新年の誓いは有言実行だ! 阪神高山俊外野手(23)が7日、東京・府中市の母校・明大グラウンドで自主トレを公開した。プロ入り後、具体的数字目標を明かすことはなかったが、「打率3割、本塁打20本」と初めて明言。これも新人王の自信と自覚の表れか。金本監督から渡された1キロバットで打撃を進化させ、大幅な成績アップでリーグ優勝を導く意気込みだ。

 青く澄み渡る東京の空に響くように、高山ははっきりと目標を公言した。

 「これまでも全試合スタメンで出たいと言ってますけど、それを大前提として3割20本を目標にやりたいと思います」

 打率3割、20本塁打。プロ入り後、具体的目標を明かさなかった男が、初めて大きな誓いを立てた。「基本的に数字は言いたくはなかったんですけど。でも、それくらいの気持ちでやらないと厳しいと思う。それくらいで今シーズンはやりたいです」。これも昨季新人王を獲得した自信と自覚の表れか。新年を迎え、心を新たにした高山がそこにいた。

 新人王を獲得した昨季は打率2割7分5厘、8本塁打。3割20本塁打へはともに大きなジャンプアップが必要だ。しかも本拠地甲子園は、浜風の影響で左打者の1発量産は難しい。だが簡単な数字ではないからこそ、自己設定した高いハードルに覚悟がにじみ出た。

 大卒2年目での3割20発達成は、田淵幸一や岡田彰布、今岡誠らも成し得なかった快挙になる。だが高山ならやってのける可能性は十分ある。その根拠と本気度はこの日、母校明大で公開した自主トレで示した。

 今オフは金本監督から手渡された通常より100グラムほど重い、重さ1キロのマスコットバットを使って振り込んでいる。この日のマシン打撃でも使用したが、重さを感じさせない振りで快音を連発した。飛距離もスイングスピードも、明らかにパワーアップ。「振れるようにはなってきたかなと思います」。充実の表情に、手応えがうかがい知れた。

 「万全の状態で春のキャンプを迎えるのは初めて。去年はけがで出遅れたけど、2月1日からアピールしていきたいです」

 昨年のこの時期は、右手有鉤(ゆうこう)骨骨折の影響でリハビリに専念。当時との体調の差は雲泥だ。この日も4時間みっちり、汗を流し調整は順調そのもの。今季のチームスローガンも「挑む」。3割20本へ、進化する背番号9が有言実行に挑む。【梶本長之】

 ◆阪神今季の外野レギュラー争い 金本監督がすでに中堅糸井、右翼福留のレギュラーを明言している。残る左翼の1枠を若手で奪い合う形だ。現状は昨年新人王の高山がリード。ここに昨年開幕スタメンの横田をはじめ、中谷、江越、板山、伊藤隼、緒方らが参戦。2月の沖縄・宜野座キャンプでは激しいバトルが展開されそうだ。

 ▼阪神で大学卒のプロ2年目までに打率3割以上、本塁打20本以上を記録したのは、1リーグ時代の別当(49年)ただ1人。

 ▼別当のほかに、大卒で阪神在籍中に「3割、20本以上」を達成したのは、田淵、岡田、今岡、金本。田淵は7年目、岡田は6年目、今岡は8年目だった。金本は広島時代の96年に5年目で初めてマーク(3割、27本)している。