日本ハム栗山英樹監督(55)が10日、大谷翔平投手(22)にオーバーペース禁止令を発したことを明かした。3月に行われる第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、調整ペースを早める考えの右腕を徹底管理する構え。世界一奪還を目指す大会が3月7日初戦というスケジュールに「急ぐ必要はない」と本人に伝達。2月の春季キャンプでは動向を注視し、必要があれば大谷の「ブレーキ役」になって日本の至宝を守る。

 日本を世界一に導いて欲しいからこそ、あえてムチは入れない。栗山監督は大谷に指令を出していた。「翔平なんかは、かなりスピードを落とさせるけどね。調整を、相当落とさせる。急ぐ必要はないので、あのスケジュールを見てると。昨日(9日)話した」。例年に比べて早めの仕上げを予告していた大谷に、面談で助言を与えていた。各選手の自主トレの状況は、トレーナーなどを通じて逐一、情報を入手しているという。その上で、はやる気持ちを制御する必要性を感じていた。

 危惧をしているのは、昨季の疲労だ。シーズン終盤から、投手として先発登板前後に野手出場も解禁。野手でスタメン出場しながらクローザーで登板させるなど、日本一へ向けた戦いの中で無理をさせてきたとの思いが栗山監督にはある。「(ここまでの調整が)早いのではなくて、体の状況も含めて」と、コンディションが整っていない中で、負荷をかけすぎれば故障のリスクも高まる危険性を指摘する。

 万が一が起きれば、影響は計り知れない。日本にとって、チームにとって、今オフにポスティングシステムを利用したメジャー移籍の可能性もある本人にとっても大きな損失となる。栗山監督は「(春季キャンプ地の)アメリカに行っても、じっくりやってくれと言ったけどね。もちろんWBCに合わせるんだけど、1つ1つのことを、きちっと組み立てることが重要」と、力説する。オーバーペースは厳禁。必要とあらば強制的に休ませる「ブレーキ役」を買って出て、万全の状態で侍ジャパンに送り出す。【木下大輔】