ベテラン扱いは不要じゃ! 広島の16年目捕手、石原慶幸(37)が19日、合同自主トレの休日を返上し、マツダスタジアムでマシン打撃やノックなどを行った。昨季中も休日返上を続け、リーグ優勝とともに捕手タイトルを総なめ。チームに欠かせない存在となっても、慢心はない。今年も春季キャンプから自分を追い込んでいく。

 じっくりマイペースで、という考えは毛頭ない。合同自主トレが休日でも、石原は額に汗を浮かべながら球場を後にした。昨季は正捕手として25年ぶりのリーグ優勝に貢献し、ゴールデングラブ賞とベストナインをダブル受賞。12球団でもトップクラスの捕手であることを証明した。実績に加え、今年9月で38歳となる年齢からも、春季キャンプは自主性による調整が許される立場にある。だが、石原は首を横に振る。

 「そんなこと考えていないし、僕が決めることじゃない。ゆっくりやろうとは思っていない。キャンプになれば練習量が増えてくると思うし、チームプレーも増えてくる。その中でやることをやる。特に変えるつもりはない」

 昨季もほぼ無休でマツダスタジアムを訪れ、トレーニングやストレッチなどで体を動かしてきた。「自分の中で動いていた方がいいと思っていた。そこは臨機応変に」。過去には前田智徳氏や野村謙二郎氏、現役時代の緒方監督が2軍でマイペース調整する時代もあった。だが、石原は早出練習にこそ参加しないものの、ほぼすべてのメニューに参加。特に守備練習は扇の要として声を張り、ナインの意識を高めるリーダーシップを発揮する。先輩新井と同様、春季キャンプから自らを追い込み、捕手として、ベテランとしてチームを引っ張る役割を担う。

 シーズンを重ねるごとに同学年の選手たちがユニホームを脱いでいく。「僕らの世代は少ない。引退した選手も何人かいる。同学年の中で刺激し合ってやっていければ」。1学年下は「松坂世代」で、今も多く現役でプレー。1学年上の世代も巨人阿部や中日吉見らがチームの中心でやっている。谷間の世代の代表格として、負けられない思いもある。ベテラン扱いなどいらぬ。まだまだ突き進む気力に満ちあふれている。【前原淳】