DeNAに右殺しの新魔神候補が現れた。ラミレス監督から名指しで抜てきを予告されたドラフト8位進藤拓也投手(24=JR東日本)が22日、神奈川・横須賀で新人合同自主トレに臨み、ブルペン入りで期待に応えた。「ドラフト指名順位が低くても見てくれていることはうれしい。モチベーションも上がるし、キャンプ初日からアピールしていきたい」。言葉通り、ブルペンでは闘志をむき出しにした迫力のある表情で、重い直球を約30球、投げ込んだ。

 前日21日に新潟でのトークショーで、ラミレス監督から「アグレッシブに投げる。30から40試合リリーフで投げられる」と1軍の戦力と期待された。どこか大魔神こと佐々木主浩氏(48=日刊スポーツ評論家)をほうふつさせる顔つきと風貌。186センチ、90キロの体格を存分に生かし、サイド気味のスリークオーターから投げ込む直球は、最速147キロ。進藤は「マウンドでは体が大きく見えるようなダイナミックなフォームを意識していますから」と強心臓が身上と話した。

 さらに、ドラフト後に新球シュートの練習に励んだ。右打者の背中からえぐってきて、胸元に反り返る軌道だ。「『抜けてくる』と思わせて、踏み込ませないのが持ち味」と、右殺しの投球術で幅を広げる。9人の新人の中で、唯一の社会人出身で最年長。8位という下位指名とはいえ貪欲に成長を目指す進藤に、下克上の好機が舞い込んだ。

 もともとは上手投げ。制球難を克服しようと、昨年5月にJR東日本・堀井監督から助言を受け、腕を下げるとプロ入りへの道が開いた。そんな強運の持ち主にまたしても訪れた転機。「1年目から力を出し切りたい」とチャンスの波に乗るつもりだ。【栗田成芳】

 ◆進藤拓也(しんどう・たくや)1992年(平4)7月16日、秋田・大仙市生まれ。峰吉川ファイターズで野球を始め、小5から投手。協和中から入った西仙北高では3年の夏に、秋田県大会でベスト4。横浜商大を経てJR東日本に入社。2年目の昨秋ドラフト指名を受ける。186センチ、90キロ。右投げ右打ち。