黒虎復活で巨人に勝つぞ! 阪神は25日、5月23日から25日の巨人3連戦(甲子園)で「ブラックユニホーム」を復活させると発表した。藤村富美男らが「ダイナマイト打線」を形成した大阪タイガース時代に着用し、限りなく黒に見える全身濃紺のユニホーム。10年の着用時は金本監督らを擁した強力打線が爆発した。縁起物の戦闘服をまとい、大補強したライバルを倒す。

 金本知憲に新井貴浩、鳥谷敬に城島健司、マートン、ブラゼル…。並みいる投手たちを震え上がらせた、あの黒虎軍団が帰ってくる。阪神はこの日、5月23~25日の甲子園巨人3連戦で「ブラックユニホーム」を着用すると発表。甲子園でお披露目会に出席した狩野は限りなく黒に見える全身濃紺の戦闘服に身を包み、新選手会長として胸の高鳴りを言葉に変えた。

 狩野 何年か前にこれを着て、すごく成績が良かった。強い、勝てそうなイメージがある。巨人戦は伝統の一戦で注目度が高い。いつも以上の力が出る、不思議な力がある。どうにか巨人に勝って、いいユニホームにしたい。

 黒には相手を威圧する効果もあると言われ、実際ブラックユニホームは阪神の「縁起物」になっている。藤村富美男らが通称「ダイナマイト打線」を形成した大阪タイガース時代、1948年(昭23)から49年にビジターで着用。半世紀以上を経て復活した2010年は主砲金本らを擁した強力打線が爆発し、着用した6試合で1試合平均10得点をたたき出した。今回は交流戦で着用した11年以来、6年ぶりの黒虎。球団担当者が「『打つ』をテーマに」と説明した通り、猛打再来に期待がかかる。

 宿敵を倒すべく用意された戦闘服だ。昨季は2位巨人に9勝15敗1分け。宿敵は今オフ、陽岱鋼やマギー、山口俊に森福と大補強を続け、選手層を分厚くしている。狩野は「(阪神に)入った時から、伝統の一戦で巨人に負けるなと言われてきたので」と力を込める。自身は昨季巨人戦で8打数1安打。「今年は去年の分まで借りを返したい」と腕ぶした。

 10、11年に続き、3度目の復活となるブラックユニホームだが、巨人戦での着用は初めて。17年リメーク版は帽子の文字が「O」から「TH」を重ねたバージョンに変更され、左腕に虎マーク、背中に名前表記が追加されている。「ダイナマイト打線」の伝統を受け継ぎながら、新時代到来へ。ニュー黒虎軍団が、巨人の前に立ちはだかる。【佐井陽介】

 ◆10年の黒虎爆発 ブラックユニホームを8月のセ・リーグ合同企画「オールド・ユニホーム・シリーズ2010」で復刻。17日横浜戦で17安打12得点、18日もブラゼルと林威助の2発と鳥谷の1発で5本塁打を放つなど、19日まで3戦連続2ケタ得点で横浜に3連勝。8月25日広島戦では球団新記録の22得点をマークするなど、着用した6試合で15本塁打、打率3割6分2厘、1試合平均10得点の猛打を振るい、4勝2敗と勝ち越した。翌年11年の交流戦ホームゲームでも採用したが、今度は5勝7敗と負け越してしまった。

 ◆ダイナマイト打線 1リーグ時代の46年、藤村富美男、呉昌征、金田正泰、土井垣武らが名を連ねた阪神打線は、チーム打率2割8分8厘をマークした。破壊力抜群の打線に、日刊スポーツ高山方明記者が命名。打線に愛称がついた、球界第1号とされる。