「不惑の新井さん」は膝に手を置き、肩で息をした。広島新井が、40歳になって初の特守を受けた。高ヘッドコーチからのノック。室内練習場に2人の声が響いた。50分後にボール箱から190球がなくなると、その場に倒れ込んでストレッチした。「下半身を鍛えるという意味でやった。しっかり割って、捕るというところ。やっぱりしんどい。年も年だからね」と豪快に笑った。

 第1クールは昨年同様、徹底的に下半身をいじめた。1人黙々と坂道ダッシュもこなした。「毎日疲れは残っている。体が固まっているから(ベッドから)起きるときもゆっくり。ピリっときたら終わりだから。慎重にしている」。キャンプ前に宣言していた通り、故障寸前まで追い込んでいる。休日を挟んで7日からの第2クールも「もうちょっと、やろうかな」と継続して下半身強化を行うつもりだ。

 厳しい練習は原点だ。「若いころは午前中は全部強化。気持ち悪くて食べられないけど、メシを10分食べて、午後は技術だった。でも基本中の基本。大事だということは分かっているから」。そして闘争心もあふれ出る。「ユニホームを着ると、負けないぞという気持ちになる」。若々しい40歳が頼もしい。【池本泰尚】