装い新たに、一回り成長した姿を見せる。今季から背番号「17」に変更となった楽天塩見貴洋投手(28)が、沖縄・久米島での春季キャンプで着々とコンディションを整えている。昨季は新人の11年以来となる規定投球回数に到達しながら8勝。自身初の2桁勝利を実現させるべく、オフには肉体改造に着手した。「左のエース」の称号を手に入れるために、焦らず、マイペースにレベルアップに努める。

 早くも、背番号「17」をその身になじませた。「似合っているでしょ!? 全然、違和感ないっすよね」。昨年オフ、入団から6年間身につけていた11番を、FAで加入した岸に快く譲ったが、未練はない。新たな看板を背負い「ニュー塩見」を周囲に印象づける。

 焦らず、マイペースにキャンプで調整し、先発左腕の座を確立させてみせる。「初めから飛ばすんじゃなくて、ピッチングのバランスを意識しながら徐々に精度を高めていければいい。マイペースとか言っちゃうと怒られるかもしれないですけど、無理をし過ぎるのもよくないんで」。初日から2日連続でブルペンに入り、1日空けて再び2日間投げ込む。ボールの回転、制球、フォームバランス…。1つ1つの作業を怠らない。第2クールからは打撃投手も務める予定だが「力を入れず、感覚を確かめながら投げます」と、自らが掲げたテーマに従う。

 塩見らしくキャンプを過ごせる準備はしてきた。昨秋の岡山・倉敷キャンプには参加せず、体のケアに専念した。12月から自主トレ期間の1月までは「1日4食」と下半身のウエートトレーニングにより、体重4キロ増の81キロとたくましい体を手に入れた。「シーズンに入ると体重が減ったまま戻らない。動きながら増やすことで、体のキレも保たれる」と自信を見せる。

 成果は首脳陣にも響いている。塩見の取り組みについて、与田投手コーチは「強いボールを投げている。どうやったら結果を出せるか? その過程を考えられている。去年、ローテーションを守った強みが出ている」と背中を押す。

 自身初の2桁勝利、左のエースとなるために、新たなモチベーションも生まれた。6日に次女が誕生。「家族のためにも、チームのためにも、今シーズンはより一層頑張ります」と言葉に力を込めた。新たな自分を築き上げるべく、塩見は迷わず腕を振る。【田口元義】