ソフトバンク松坂大輔投手(36)が、再び怪物となる。右肩手術から完全復活を目指す右腕は7日、ブルペンで今キャンプチーム最多の239球を投じた。代名詞であるワインドアップ投法と、全球種の変化球を解禁。20代だった西武時代のように、球数を重ねて疲労のピークをつくる計画に基づいた、猛烈な投げ込みを敢行。期待をふくらませた。

 ソフトバンクB組のブルペンが、また松坂劇場と化した。1時間23分にわたる熱投。これまでカーブ、シュートのみだった変化球もカットボール、スライダー、チェンジアップを加えた。両隣の投手が次々と入れ替わる中、黙々と右腕を振り続けた。

 「(制球は)あんまり良くなかったが、球数を投げられるフォームになりつつある。肩に対する不安が去年よりもないのが1番」

 右手中指にマメができた4日以来、3日ぶりのマウンド。そのマメとは別に新たにマメができかけ、239球でボールを置いたが、物足りないと言わんばかりの表情だった。

 25歳だった06年の西武キャンプでは1日333球を投げたこともある。「いい時はそういう調整をしてきたし、僕は投げ込んでつくっていくタイプ。疲れてくるとむだな動きがなくなり、余計な力が入らない投げ方になる。もっと疲れたところから(フォームを)つくっていきたい」と、20代と同じ調整で復活への青写真を描く。

 15年8月に右肩を手術。昨春季キャンプでは「100球を超えるのがしんどかった。ストレスが先にきて、気持ちが疲れてしまった」と打ち明けた。現在は「肩、肘の不安はない」といい「去年よりストレスは減った。今は気持ちの疲れがないので、体をセーブしないと」と表情も明るい。スリムになったのは、9キロ減った体重だけではないようだ。

 昨年12月のプエルトリコ・ウインターリーグからここまで、振りかぶらずに投げていた。この日は代名詞のワインドアップに戻し「バランスよく投げられるし、リズムがつくりやすい。小さい頃からやっているので僕は好き」という。工藤監督を「まだ第2クール初日だぞ」と驚かせるほどの快調なペース。11日からの第3クールでは、主力が中心メンバーのA組でシート打撃に登板するプランも浮上した。止まらない投げ込みで、完全復活に突き進む。【福岡吉央】