【ピオリア(米アリゾナ州)9日(日本時間10日)=本間翼、木下大輔】日本ハム大谷翔平投手(22)が、偉大な大先輩から復活へのパワーを注入された。キャンプ地を訪れたレンジャーズ・ダルビッシュと談笑し、日本人メジャーリーガーのパイオニア、野茂英雄氏とも“ニアミス”。夜にはマリナーズ岩隈にも遭遇するなど、右足首痛に苦しむ投打「二刀流」が数々のレジェンドらから激励された。

 見慣れた顔に、思わず表情が緩んだ。大谷が丁重に握手を交わし、頭を下げていたのはダルビッシュだ。「主に、あいさつですね」と、約1カ月ぶりの再会に笑みがこぼれた。オフ中もともに自主トレを行い、一アスリートとしてのノウハウを学んだ。右足首痛に悩まされているが、背番号11の大先輩から重い心を軽くしてもらった。少しだけ、約5分間の会話の一部を明かした。

 大谷 右足を浮かせたら、投げられるんじゃないか、と。なかなか実戦だとそうはいかないけど肩も作らないといけないですし、遠投やキャッチボールでは、そういうのも必要ですね。

 投球時に痛みが出るつま先立ちをするような「底屈」の動作を避けて投げれば…。状態を気遣うダルビッシュからのウイットに富んだ激励。身ぶり手ぶりを交えながらのコミュニケーションに相好を崩した。

 この日はパドレスでアドバイザーを務める野茂氏も訪問。グラウンド上では全体練習とは離れてランニングメニューやキャッチボールを行っていたため、「全然、会ってないです」と、直接対面する機会はなかったが、あこがれの日本人大リーガーのパイオニアとも“ニアミス”した。夜には選手が参加したチームのバーベキューにマリナーズ岩隈も顔を出したという。米国ならではのゲストの訪問の連続に「今シーズン、しっかり頑張れるように。まずは、しっかりやりたいなと思います」と、気持ちを新たにした。

 さらに全米放送の3大ネットワークの1つ、CBSの取材クルーも訪れた。同局のドキュメンタリー「60 Minutes(シックスティー ミニッツ)」で、メジャー挑戦が見込まれる大谷の番組を製作したいと、熱意を伝えられた。温暖なアリゾナでの調整は残り1日。調整メニューは慎重に組まれ続けているが、刺激的な1日を過ごした。