ロッテ平沢大河内野手(19)の打球は、高いライナーで右翼フェンスを越えた。2点を追う5回先頭、台湾・ラミゴの先発右腕の内寄り真っすぐにくるりと体を回した。「詰まったけど、風が強かったので」とニコリともしなかった。今年のチーム初実戦で、チーム初アーチ。自身にとっても、1軍の試合で本塁打を放つのは2年目で初めてだ。

 練習の成果が出た。2回の第1打席、内寄り真っすぐに差し込まれ、遊飛。「差し込まれていたのでポイントを前にしました」と修正した。次の打席で、同じコースの同じ球を最高の形で仕留めた。1年目の昨季、1軍で53打席をもらったが、真っすぐに差し込まれる場面が多かった。原因の1つは、ポイントが後ろすぎたこと。昨秋から山下野手総合兼打撃コーチの指導の下、これまでより前で打つことを意識している。

 8回には右中間を破る三塁打も放ったが、慢心しない。「今日1日では決まらない」と繰り返した。2年目を迎えて、心身ともにたくましさを増している。それを実感するのが宮城にいる母恵さんだ。昨年末、帰省した息子が自分のことを「僕」と言うのを知り、驚いた。「それまでは『俺』。礼儀正しくなったなと。新聞のコメントもしっかりしていて、驚きます」と、大人になっていくわが子に目を細めた。

 伊東監督は「1人が打てば、もう1人が打つ。良い競争」と、三木、中村、大嶺翔らも打ったことを喜んだ。正遊撃手だった鈴木の二塁転向でポジション争いは激しくなった。「お互い刺激になればいい」と平沢。チーム力アップの要因となる。【古川真弥】