「茨城の中田翔」こと、DeNAのドラフト5位細川成也外野手(18=明秀学園日立)が、初の対外試合の初打席で本塁打を放った。13日、沖縄・宜野座で阪神との練習試合で、6回の守備から出場すると、7回表に阪神島本の4球目を、バックスクリーン手前まで推定130メートル弾を運んだ。アレックス・ラミレス監督(42)からパワーを買われて2軍から抜てきされた怪力ルーキーが、最高の形で期待に応えた。試合は4-1でDeNAが勝利を収めた。

 18歳のフレッシュで豪快な一振りが、虎に牙をむいた。細川は豪快な空振りでカウント1-2と追い込まれた4球目も、同じようにフルスイングした。島本が投げた137キロの外角高めの直球を、バックスクリーン手前の芝生へ放り込む推定130メートルの豪快弾。6回裏の守備から出場し、プロ初打席が本塁打になった。「小さくならずに、フルスイングしようと思っていた」と、大物感を漂わせた。

 高校時代通算63本塁打で「茨城の中田翔」の異名通り、不思議な巡り合わせとなった。沖縄で、阪神相手の初対外試合で初本塁打は、9年前にも本家が放っていた。08年2月10日、ドラ1ルーキーだった中田は、名護で阪神筒井から1発を打っていた。そのときも推定130メートル弾。打撃で困ったときは「いつも中田さんの動画を見ていた」という憧れの1人に、卒業間近の高校生とは思えぬパワーは負けていなかった。

 パワーのもとには、しっかりとした土台があった。中学まで無名だったが、高校進学時に「坂本勇人選手を教えた人のところでやりたかった」と、光星学院(現・八戸学院光星)で坂本を指導した金沢成奉監督がいる明秀学園日立に進んだ。同監督からは下半身の使い方、バットの軌道など打撃技術を受けただけではない。「三振を怖がるな」という言葉が今も強く心に残っている。

 2軍の嘉手納キャンプで一目ぼれして、抜てきしたラミレス監督も「彼のいいところは無理に引っ張らないところ。外にきたら逆方向やセンター方向へ打てる。コンタクトができればさらによくなる。非常に楽しみ」とうれしそうに話した。今後も2軍で実戦を積みながら、1軍で経験させる方針。「新人らしくどんどんアピールしていく」と言い切る細川の勢いは、まだまだ続きそうだ。【栗田成芳】

 ◆高卒新人の初打席弾 公式戦は60年高木守(中日)80年香川(南海)90年林(ロッテ)佐伯(西武)16年広岡(ヤクルト)の5人。80年以降のオープン戦では00年迎(オリックス)08年中田(日本ハム)だけ。