オカン! 今度は俺がパワーを送る! 2軍安芸2軍キャンプでリハビリ中の阪神西岡剛内野手(32)が18日、左アキレス腱(けん)断裂後初となる屋外での打撃練習を敢行した。こん身スイングで放った4発の柵越えは、17日に乳がんを公表した「オカン」こと女優藤山直美(58)に送る熱いエールだった。

 リハビリ中の西岡が意を決した。掛布2軍監督ら本隊が春野での練習試合(西武戦)に出向き、野手は誰も残っていない安芸市営球場のメイングラウンド。1人用意された打撃マシンとケージに向かうと、今キャンプ初めてスパイクを装着し、バットを構えた。

 西岡 藤山直美さんの話を聞いて、もともとやる予定はなかったけど、そういう報告を受けてエールを込めて外で打ちました。

 藤山が17日、乳がんを公表。かねてから親交の深い藤山とは「オカン」と「ツヨシ」で呼び合う間柄だ。昨夏、左アキレス腱を断裂した際はすぐ電話が入った。

 藤山 ツヨシ! 死ぬ以外はかすり傷や! 頑張れとは言わん! やれ! 

 今回は藤山本人から闘病の報告を受けた。「今度は俺がパワーを送る!」。リハビリ後初めての屋外打撃練習でエールを送った。

 左打席で50スイング、感触を確かめると、続けて右打席の19スイング目に左越えのアーチが飛び出した。集まったファンから歓声が上がると、右手を上げて応えた。そしてウインドブレーカーを脱ぎ捨て、キャンプインのセレモニー以外では初となる「背番号5」のユニホームを披露。最後もレフトポール際へのホームランで締め、45スイングで4発の柵越えを放った。

 西岡 (今日は)思いっきり振るだけ。(リハビリと減量で)やせたから打球が飛ばないというのはナンセンス。飛距離も変わってない。順調です。

 報告を受けた金本監督も笑顔でうなずいた。「あいつはトレーニングせずに横着して太ったようなタイプだからね(笑い)。(他の)選手には筋肉で体重を増やせと言っているけど、西岡は(体重を)落として正解だと思う」。キャンプイン時に「120%(力を)出せるというところで(1軍に)上がりたい」と目標を設定した。「オカン」に元気で熱いエールを送りながら、シーズン前半戦での復帰を目指す。【河南真一】

 ◆藤山直美の乳がん 藤山の乳がんが判明したのは1月に受けた検診がきっかけ。再検査で右側乳房に初期の乳がんが見つかったという。摘出手術や放射線治療などの治療方針は未定。3、4月の主演舞台「おもろい女」は中止。7月の「喜劇松竹名作公演」は休演。

<西岡の復活ロード>

 ◆負傷 昨年7月20日巨人戦(甲子園)の走塁時に左アキレス腱を断裂。26日に大阪府内の病院で手術を受けた。

 ◆ファン感 11月19日のファン感謝デーで負傷後初めて姿を見せた。電動立ち乗り2輪車で登場するとスタンドから歓声。「うれしいね」と笑顔をみせた。

 ◆背番号変更 11月22日、背番号7から5への変更を発表。オリックスからFA加入した糸井に自ら連絡を取り「7番を希望するなら、気分よく着てください」と譲った。

 ◆おとこ気更改 12月1日に契約更改交渉に臨み、1800万円減の年俸9000万円でサイン。「給料は見てない。出されたものに判を押した」とノールックでサイン。

 ◆公式インスタグラム ファンとの交流を図るために1月8日に開設。米ハワイで日本ハム中田らの前をダッシュで駆け抜ける動画をアップし、回復をアピールした。

 ◆2軍発進 安芸のリハビリ組に参加。キャンプ初日から坂道ダッシュ、ノック、マシン打撃を精力的にこなした。