充実のキャンプ打ち上げだ。広島は1日、沖縄2次キャンプを打ち上げた。緒方孝市監督(48)は、約1カ月に及ぶ春季キャンプに確かな手応えをつかんだ。WBC日本代表選手などチームを離れる主力選手もいたが、チーム力底上げにつながる若手の台頭が指揮官を満足させた。5日のオープン戦からはチームづくりが本格化。指揮官はチーム内競争の継続を促し、連覇への輪郭を描いていく。

 連覇への下地はできた。約1カ月に及ぶ春季キャンプを終えた緒方監督の表情が、充実した日々を物語っていた。野手では鈴木、菊池、田中とWBC3選手が抜け、投手陣では主戦級の離脱があった。それでも彼らの不在を感じさせないほど、若手がアピール。指揮官の不安を取り除き、そして満足感を与えた。

 「非常にいいキャンプを送れたと思います。沖縄に入ってから数多く実戦ができた。実績のある選手はまた1つ段階を上がった。若手はやって来たことを発揮した選手が目についた。そのままオープン戦で出して欲しい」

 野手では、昨季2軍で多くの時間を過ごした堂林や船越らが、結果とともに内容でも成長を示した。育成外国人のメヒアは、3戦連続弾など強烈なインパクトを残した。指揮官はチーム作りが本格化する5日オープン戦以降も、メヒアを1軍に同行させて実戦を積ませる考えだ。

 2月17日に本隊に合流した新外国人ラミロ・ペーニャ内野手(31)は同28日のキャンプ最終戦で来日1号。4投手にエルドレッドを加えた外国人枠争いはオープン戦まで続いていく。

 投手陣には誤算があった。抑えの中崎、先発ローテ有力候補の大瀬良と福井が別メニューとなった。その中で新人2投手が奮闘。ドラフト1位加藤拓也投手(22=慶大)は実戦4試合で9回無失点と結果を残し、3位の床田寛樹投手(22=中部学院大)も評価を上げる。緒方監督は「オープン戦でよりいいものを続けていって欲しい。まだまだ課題はあるが、修正していけば開幕メンバーに加わるのではないかという期待はしている」と目を細める。

 福井はこの日、全体練習に合流し、キャッチボールを再開した。チームが再始動する3日から中崎も合流予定。開幕前にはWBC組も帰ってくる。成長を示した若手と主力の争いによる相乗効果によって、昨季のセ・リーグ王者はさらに強くなる。【前原淳】