岸打ちで開幕スタメンにまた1歩近づいた。西武3位ルーキー源田壮亮内野手(24=トヨタ自動車)が、練習試合の楽天戦(SOKKENスタジアム)に9番遊撃で先発。2回1死二、三塁、前エースでFA移籍した岸から先制右前打を放った。さらにプロ初盗塁を決めると、7、8回にも中前打、左前打と3方向に安打を放ち、苦手とする打撃でもプロ初の3安打と大暴れした。

 しまった、から始まった。源田の第1打席は、1死二、三塁の好機。「初球から打とう」と力みすぎ、ボール球に手を出してしまった。2球目もファウルで、あっという間に追い込まれた。3球目。「何が何でもという気持ち」で内角直球に手を出すと、バットを折りながら右前にはじき返した。先制適時打。試合でバットを折ったのはプロで初めてだが「必死すぎて何も」と、試合後には感触を忘れてしまった。

 通算103勝の岸から打った。「すごい投手なので、自信というか、うれしいだけ。全部の球種で空振りが取れる投手ですから」。ただし、西武の他選手と違い、エースだった岸と話したことがない。MVPに輝いた08年の日本シリーズも見ていない。入れ替わりで入団しただけに、距離感は他の投手と変わらなかった。

 3方向に安打を打ち分け、課題の打撃で結果を残した。「良かったなと思う。継続していくだけです」。本来「自信があるのは守備」で、次が走塁、打撃は苦手という。試合後もネットに向かって一心不乱にティー打撃を繰り返した。走塁面では対外試合初盗塁を決めた。「足は自信があるけど盗塁の技術は勉強しているところ。走れる選手になりたい」。8回には盗塁死と、確かに勉強中だ。

 結果を残したことで、開幕スタメンが近づいてきた。辻監督は「あいつしか(対外試合の先発で)ショートをやってない。あいつしか考えてない」と言いつつも「まだ決まってない。当確じゃないけど、今のところあいつしかいない」と微妙な言い回し。今後も外崎、永江らと競争を継続させる意向をうかがわせた。試合後、大分から車で訪れた両親から激励を受けた源田は「あと1カ月弱ある。まだこれからだと思う」と気を引き締めた。【斎藤直樹】