中日ドラフト2位の京田陽太内野手(22=日大)が開幕1軍に大前進した。9回1点ビハインドの巨人戦(岡崎)で、1死満塁から西村撃ちの逆転2点タイムリー。プロ初のサヨナラ打でチームの連敗を3で止めた。守っては本職の遊撃や二塁ではなく、人生初の三塁でスタメン出場。打って良し、どこでも守って良し。最下位から逆襲を期す竜の強力兵器になる勢いだ。

 京田の一撃に岡崎球場がドッと沸いた。1点を追う9回1死満塁。13年のセーブ王、巨人西村の真ん中への変化球を完璧にとらえた。打球は前進守備の中堅重信の頭上を越える逆転サヨナラのタイムリー二塁打。ナインに出迎えられた背番号51が大歓声に包まれた。

 だが本人はポーカーフェースだった。「見逃し三振だけはしたくなかった。とにかくバットに当てることを考えた。センターが浅かったので飛んだコースが良かったと思います」と謙虚。だが2安打2打点でオープン戦打率を3割に上げた奮闘は新星誕生の予感だ。

 内野はどこでも守れることもアピールした。本職は大学日本代表でも務めた遊撃。前日の巨人戦で守った二塁もOKで二遊間が専門分野だった。だがこの日は、アマチュア時代を通じて1度も経験がないという三塁起用。だが、6回に三ゴロ併殺を完成させるなど、そつなくこなした。

 森脇内野守備走塁コーチは「1つのポジションに執着することは大事だけど、オプションとして三塁を守れるのは、個人もチームにとっても大きい」と評価した。遊撃には実戦派の堂上、二塁には2000安打に挑む荒木、三塁には強打の新外国人アレックス・ゲレーロ内野手(30=ドジャース3A)がいて、スタメンの壁は厚い。だが超マルチな才能を首脳陣がインプットしたことは間違いない。

 森監督は「毎日試合に出ているのだから驚くことをしてくれないと」とさらなる活躍を期待。京田は「開幕に向けて準備していきたい」と引き締めた。最下位からの逆襲へ、竜のドラフト2位ルーキーが強力兵器になる。【宮崎えり子】

 ◆京田陽太(きょうだ・ようた)1994年(平6)4月20日生まれ、石川・能美市出身。小学2年で野球を始め、ポジションは主に遊撃。青森山田に進み、1年春から遊撃でレギュラーも甲子園出場はなし。日大では1年春からベンチ入りし、1部昇格した3年秋に遊撃手でベストナイン。右投げ左打ち。182センチ、80キロ。

 ▼ルーキー京田がサヨナラ二塁打。オープン戦で新人のサヨナラ安打は、06年2月26日川島(日本ハム)がヤクルト戦で記録して以来、11年ぶり。川島はオープン戦初打席で逆転サヨナラ3ランを打った。