7連覇を狙う富士大(岩手)の186センチ右腕・上島迅翔(はやと、3年、修徳)がリーグ初登板初先発で、完投勝利を挙げた。初回に先頭打者本塁打を浴びたが、その後は3種類の変化球で巧みにカウントをとる投球で2安打8奪三振2失点に抑えた。9回を3者連続三振で締めくくりチームを開幕2連勝に導いた。

 今までは直球で押すスタイルだったが「直球がそこまで速くなかった」と諦め、昨秋から打たせてとる投球に転じた。先輩の和田悠佑(現日本通運)からツーシームを教わり「真っすぐが生きるようになった」。直球と同じ軌道を描いて打者の手元で小さく変化する「くせ球」が投球の幅を広げた。開幕前には社会人TDK(秋田)を8回2失点に抑え、自信をつけた。

 昨年の絶対的エース小野泰己(現阪神)や和田、守護神・西村拓真(現新日鉄住金かずさマジック)の3本柱が卒業。偉大な先輩を「雲の上の存在」と見上げるだけだった。だが、この冬は「俺がやるっきゃない」と自覚を持って鍛練を積んできた。「この試合を自信にして、次の試合もつくっていけたら」。上島の右腕が、チームを支える。