東北楽天シニア(宮城)の阿部龍太投手(3年)が、準々決勝の仙台西部戦で準完全試合をやってのけた。許した走者は味方の失策で出した1人だけ。7回を22人で片付けた。楽天は準決勝で盛岡姫神を破り、決勝進出。秋田北も福島、花巻を連破し、今日14日に行われる決勝に進出した。

 阿部は最後の打者を打ち取ると、笑みを浮かべた。打者22人の準完全試合。初回、2者連続三振と最高の立ち上がりで3番打者はサードへの平凡なゴロ。これが悪送球となりランナーを許したが、その後は出塁すら許さなかった。快挙達成に「今日は100点です」と笑顔で振り返った。右上手から「自信がある」と話す直球とスライダーを中心に球を低めに集め、早いテンポでストライクゾーンをどんどん攻める。相手打者は阿部のペースに支配され、凡打の山を築いた。

 15年に創設された楽天シニアの1期生。レベルの高い同期生の中で、2年夏のジャイアンツカップ予選では背番号1を背負ったが、今大会は背番号10。中浜裕之監督(39)は「今まではボール先行で自ら崩れることが多かった」という。元プロ野手の経験も踏まえ「打者にも必ず打ち損じがあるから、ストライク先行で投げること」と助言を続け、この日は4奪三振でテンポよく打たせて取った。

 今日の投球を「今までで一番良かった」と振り返った阿部だが、エースの座を奪い返すまで気を緩めることはない。「他の投手に負けたくない。今日の投球を続けることが大事」。東北での秋春連覇をかけた今日の決勝でも、出番があればこの日のスタイルを貫くつもりだ。【林野智】

 ◆阿部龍太(あべ・りゅうた)2003年(平15)3月10日、宮城・仙台市生まれ。南小泉小1年から南小泉メッツで野球を始め、投手。南小泉中では東北楽天シニアに所属。球種は直球、スライダー、カーブ、チェンジアップ。家族は両親、兄。174センチ、66キロ。右投げ右打ち。血液型O。