伏兵が逆転猛打の火ぶたを切った。3点を先行されて迎えた3回だ。西武の先頭打者岡田は高めストレートをぐわんと強振。ロッテの左翼手パラデスが打球を後逸する間に、あれよあれよと三塁に到達した。続く秋山の二ゴロで生還し、この回3点で試合をふりだしに戻した。辻監督は「あれがシングルだったら違った。今日は大活躍だ」と褒めちぎった。

 プロ4年目で初の三塁打は序章にすぎなかった。体を開かず、4回に遊撃内野安打、再び先頭で立った6回は中堅への二塁打をマーク。秋山の適時打で今度は5点目のホームを踏んだ。気付けばプロ初猛打賞。全て違う投手から打った。

 「9番なので、秋山さんにいい形で回したかった。粘って球数を投げさせようとした結果」が3安打2得点。前夜に打点を挙げたのは3番浅村と4番中村の中軸コンビ。打って変わって、1番秋山が6号2ランなど4打点を稼ぐポイントゲッターとなった。逆転劇はリードオフマンの役割を恐怖の9番打者? が担ったからこそ生まれた。

 下位から加速した打線は先発野手全員安打で、今季最多タイの17安打を量産した。点差も開いた第4、第5打席。「ホームラン! ホームラン! お、か、だ!」。スタンドの声援に揺らいだ。めったにないサイクル安打達成のチャンスに「意識しすぎ」の連続三振。「甘さが出ました。これからは右打ちの意識で、外野の前に落とすヒットを積み重ねたい」。個人の大記録は逃した。でも反省しながら浮かべた笑みに、今季初5連勝の喜びがあふれていた。【鎌田良美】