巨人のドラフト1位鍬原拓也投手(21=中大)の開幕1軍に黄信号がともった。9日、川崎市のジャイアンツ球場で新人合同自主トレを開始した。だが、キャッチボールは強度、距離ともに抑え気味。球団は「上半身のコンディション不良で大事を取って一部別メニュー」と発表した。キャンプの1軍は絶望的で慎重に調整を進めることになる。

 東都大学リーグの秋季リーグ後、約2カ月は疲労回復を優先してノースロー。年明けから再開したが、この日も他の新人より約10メートル短い、約20メートルでの投球と抑えた。「自分の体は自分が一番分かっている。無理せずゆっくりと」。2月1日のキャンプインでのブルペン入りも「こだわりはありません」と先を見据えた。

 視察した高橋監督は「しょうがない。1日でも早くできれば、それに越したことはない」と話した。キャンプメンバーの振り分けは中旬までに決まるが、将来ある右腕に急ピッチは強いられない。斎藤投手総合コーチは「キャンプに来られないなら開幕は間に合わないということ。去年の畠のように球宴前後から投げてくれれば。期待があった分、ショックだね。1人でも新しい力が欲しいところ。マイコラスの穴は相当だから」と残念そうだった。

 昨年もドラ1吉川尚が右肩痛で出遅れ、今年も軌道修正が必要となった。一方で昨年は右肘手術明けの畠がスロー調整で、7月から1軍に昇格して6勝の好例もある。鍬原は「4月に合わせて逆算してやっている途中。ゆっくり自分のペースを守っていきたい」。後方待機からの逆襲へ、我慢の門出となる。【広重竜太郎】