ソフトバンクが泥臭い「全力疾走」を合言葉に、連敗を3でストップさせた。同点の8回。バックスクリーン左へ決勝の12号ソロをたたき込んだ柳田も「入れと思って走った。今日(26日)走らなくて、(打球が)フェンス直撃とかなったらバリ怒られる」と、全力で二塁まで走った。

 試合前の円陣で達川ヘッドコーチが「すべての走塁での全力疾走をチーム方針でやっていこう」と伝えた。3連敗した前日の楽天戦で、一塁への飛球を打ち上げて走らなかった柳田が例に出された。柳田は「当たり前のことを当たり前にしていないから、負けていたと思う」と反省。平均年俸12球団トップ、昨年日本一のチームが、貯金0の苦境から脱するために、高校野球のような「全力疾走」をあらためて胸に刻んだ。

 右肘痛から5戦ぶりに「2番遊撃」でスタメン復帰した今宮も今季初4安打で勝利に貢献した。5回2死二塁、中村晃のゴロを二塁手がはじいたプレーで、二塁走者今宮は一気に本塁へ。痛くない左手で捕手のタッチをかいくぐり、リプレー検証でもセーフ。昨年の日本シリーズのような“神の手走塁”がまた決まった。工藤監督は「本当にすばらしい走塁。あの走塁がチームに元気を与えてくれた」と絶賛。もちろん全力疾走あっての結果だ。

 必死の継投采配だけでなく、9回には松田をベンチに下げ、三塁に高田を入れた。工藤監督は「守備を安定させるために」と確率を選んだ。1点差試合の連敗も7でストップ。4月10日以来となる借金は回避した。今日27日の交流戦前ラストゲームも、泥臭く勝ちにいく。【石橋隆雄】